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「えっ!?あっ!おいっ、なんだよそれ!?」

俺は鬼道の言葉にびっくりして鬼道の肩を掴む。
でもすっかり調子を戻した鬼道は俺が慌ててるのを見て寧ろ楽しそうに口の端を上げる。


「お許しも出たことだし、これからは学校でも好きにすることにしよう。
男の姿の時も容赦せず嫉妬するから覚悟するんだな」

「えっ、ちょっ、鬼道!?」

男の俺を抱いてほしいって話から、どう転ぶとそういう話になるんだ!?
俺、まだそんな覚悟決めてないってのに〜!


俺が泡食って鬼道の腕から逃げようとすると、それを見越したように鬼道の腕ががっちりと俺を抱き上げる。
そう、抱き寄せるじゃなくって抱き上げた。


「ひゃあっ」

「こら暴れるな。
お前から誘ったんだ。
やはり無しは通用しないからな」

鬼道はそう言うと俺を部室にあるテーブルの上に降ろした。


「随分淫らなメイドだな」

抱えられた状態で降ろされたから足が開いて
ミニのメイド服が捲くり上がる。
パニエのせいじゃない不自然な膨らみが鬼道に見られてしまう。
そんな俺をくすりと鬼道が笑う。
俺は慌てて足を閉じ、露になっていた足をスカートで隠す。
それだけじゃ隠しきれなくてソコの前に手を付く。


「それではお前の望みを叶えられそうにないぞ。
ほら自分から足を拡げるんだ」

「イッ!?」

鬼道の意地悪な言葉に顔が熱くなる。
メイド服を着たままだからか、いつもより些細な事が恥ずかしくって堪らない。


「はっ、恥ずかしいよぉ…」

足を内側に倒したまま、少しずつ足を開いていく。
手は勿論、アソコを隠したままだ。


「恥ずかしがっているのに従順なところが余計卑猥だぞ。メイドさん?」

鬼道はニヤリとしながら俺の膝頭を押し広げる。
俺の脚が大きくM字を描く。


「メッ、メイドごっこなんかするなっ!」

俺は脚の間に収まろうとしている鬼道の肩を押し返す。
俺は本気で照れてるってのに、鬼道は肩に置いた俺の手にちゅってキスなんてしてきた。


「ほら腰を上げてくれ。
邪魔な物を脱がすから」

「…んっ」

開いた背中から直に腰を撫でられ反射でくぐもった声が漏れる。
恥ずかしいのに鬼道の脱がす手を手伝うように腰を上げてしまう俺も大概だ。

邪魔な物と言ったのに、鬼道はパニエとボクサーパンツだけを剥ぎ取る。


「…服は着たまま?」

いつもだったら鬼道は着衣のままでも俺だけは全身脱がしてくる。
それなのに今日はその二つだけを脱がしただけで鬼道はごそごそと部室の備品を漁ってる。

俺が怪訝そうに声を掛けると、鬼道が振り返る。
その手にあるのは、…軟膏?


「今日は女の格好をした男のお前を抱かせてくれるんだろう?」

鬼道が軟膏の蓋を開けながら俺の方へ戻ってくる。
そして俺の脚をさっきみたいに大きく開く。
ついでに俺の勃起してる部分もスカートから出す。
スカートの裾のレースが根元に当たるのが俺をハシタナイ気分にさせる。


「これは中々…。
倒錯的で淫靡な感じが酷く煽られる」

鬼道が座った俺の前に立って全身を眺めた後、少し頬を上気させて言ってくる。
鬼道の興奮が伝わってじわりと体の奥から何かが溢れてくる。


「はぁっ…、きどぉ…」

隠すものが無いから俺の欲望は全て漏れてるはず。
俺は堪らなくなって鬼道を見上げる。
こうすればいつも鬼道は俺が欲しいものをくれる。

でも今日は小さく苦く笑っただけだった。


「今日はお前には沢山我慢させてしまうかもしれない。
それでも痛いようにはしないから俺を信じてくれ」

鬼道を信じる…?
そんなのわざわざ言わなくたって、いつだって俺、鬼道の事信じてるよ。


「きどぉ…、俺、だいじょ…ぶ、だよ?」

まだ何か不安な事でもあるのかと、両手を広げて鬼道を呼ぶと、
鬼道は俺をぎゅうって抱きしめた。
肌蹴た肩に鬼道の吐息が当たる。


「…ありがとう、半田。
俺にやり直すチャンスをくれて。
俺はお前に酷い事ばかりしたのに、愛してくれてありがとう」

それは俺の耳元で小さく告げられた。
抱き締められ、お互いの顔が見れない状態で。


――初めて聞いた鬼道の「謝罪と感謝」


俺がびっくりして鬼道の顔を見ようとした途端、敏感な場所に冷たい感触があって体が跳ねる。

軟膏をたっぷりと塗った鬼道の指が俺のいつもと違う場所に潜り込んで来た。
俺はその初めての感触に体を捩る。


鬼道の言葉に何も返せないまま、その行為は続けられた。
・・・その、男の俺も鬼道を受け入れられるように体を拓いていく行為。


そうして俺はまた鬼道への想いで体を変えた。
俺が進んで変化を望んだのはそれが初めてだった。

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