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俺は半田真一。
ご存知雷門中サッカー部二年MF。


突然だけど、俺はこの真一って名前が大っ嫌いだ。
『真実は一つ』ってどっかの名探偵かっつーの。
大体において真実が一つしかないなら、この俺はどうなるんだ。

男でも、女でもある、この俺は・・・。



至極普通の男子中学生である俺は、実は全然普通じゃない部分が体に一つだけある。
平たく言うと男なのに何故か体の中心に穴が人より多くある。
そう、女性の部分があるってことだ。
でも、それ以外は全く普通の男だ。
普通さに定評のある俺が言うんだから間違いない。


今までプールも林間学校や修学旅行でも皆と一緒に全裸になっても、バレることは無かった。
ちゃんと前に付いてるし。
胸ぺったんこだし。
足を広げてまじまじと見る奴なんて普通にいない。

だから誰も俺が普通の男じゃないって疑う奴はいなかった。


第一、俺自身がそんな何の機能も果たしていない部分なんて、ただの飾りぐらいにしか思ってなかった。
存在自体普段はすっかり忘れていた。
身も心も完全な男子中学生のつもりでいた。


だからこそ、その部分が何の機能も果たしてないんじゃなくて、
これから機能する為にゆっくりと成熟しているだけだって、その日がくるまで気づいていなかった。

そう、あの日まで……。


 

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