6*
「きどおぉ!!」
俺は永遠とも思える時間、戻ってこなかった鬼道の姿を見て安堵で胸がいっぱいになる。
このまま鬼道が戻ってこないんじゃないかって不安で不安でしょうがなかった。
このまま部活の時間になって、皆が俺の淫らな姿を見て全てバレると思った。
俺が両性具有だってことも、俺が鬼道に飼いならされた快楽に弱い淫乱だってことも全部。
だって、今の俺は後ろの穴にローターを入れられて、なんか分かんないけど、勝手にちんちん大きくなっちゃうし。
後ろの刺激が前にも響くから、さっきからアソコがじんじんしちゃって椅子まで汚してる。
ずっと泣いてたから顔は涙と鼻水と涎でぐしょぐしょだ。
「俺、俺、怖かったぁー…!
お前がちゃんと戻ってきて良かったよぉ」
俺が泣きながら言うと、鬼道は俺のことを安心させるように抱きしめる。
「俺がどれだけお前にとって大切な存在か分かったか?」
「うん…!うん、鬼道…!!」
俺は何度もその言葉に頷く。
鬼道に与えられた罰が身に沁みていた。
鬼道は俺を抱きしめたまま、手錠を見ずに器用に外した。
「ね、後ろのも早くぅ!!」
手が自由になると、俺は鬼道の腰に抱きついた。
必死な俺の顔を覗き込んで、鬼道は満足そうにニヤリと笑う。
「流石のお前も、後ろだけでイクのは無理だったか」
「そんなの無理にきまってるだろぉ」
俺は自分の涎を拭いながら言う。
快感のメーターがさっきからずっとレッドゾーンぎりぎりの水際にある。
早くどうにかして欲しい。
ブルブルって小さく震えるだけのモノを取り出して。
それで、それで……!
「…きどぉ」
俺が足を擦り合わせながら鬼道の名前を呼んだだけで、鬼道には俺が本当に欲っしてるモノがバレてしまったらしい。
「ほら」
「…ん」
鬼道がテーブルにマントを敷き、俺に寝そべって脚を広げるように指し示す。
やっと取ってもらえると思った俺は、素直にソレに従った。
でも鬼道はソレを取る事は無かった。
密かに俺が本当に望んだ事、それを叶える為に鬼道は俺に覆いかぶさった。
「ッん、ああぁーーッ」
ずんと一気に入ってきたソレに俺は歓喜の声をあげる。
「入れただけでイったか」
中に鬼道を感じただけでイってしまった俺の震えが治まるのを、鬼道は動かずに待ってくれる。
「今日は思う存分イっていいぞ」
俺の顔に触れる鬼道が優しくて、俺はふぅーっと長い息を吐きだした。
俺が鬼道の手に自分の手を重ねても優しい顔のまま。
もう俺への罰は終わったんだ。
俺は安堵で、優しい表情の鬼道を目に焼け付けてから目を瞑る。
それを合図に鬼道がゆっくりと動き出す。
すごくゆっくりとした動きなのに、中で後ろのローターと擦れてイったばかりの俺に凄まじい快感を与えてくる。
「はあッ、イイよぉ!」
鬼道の指をぎゅっと掴む。
何かに掴まっていないと自分がおかしくなりそうだった。
「はぁッ、…んッ、はぁぁッ!イイッ!…イイよぉ…ッ!」
我を忘れてしまっている俺は、声を抑えることさえ忘れてしまっている。
鬼道はそんな俺の顔を撫でると顔に手を当てたまま親指で俺の唇に触れる。
俺は唇をノックして入ってきた指に夢中で舌を絡ませた。
んじゅ、じゅるって鬼道の指から零れた涎が首筋を伝う。
今の俺にはそれさえ快感に変わる。
鬼道の動きが早くなると、舌を絡ませることさえできなくなる。
もう鬼道の指であることさえ忘れて噛んでしまう。
「あッ、あんッ!あぁッ、ああーッ!」
口の端から指だけじゃ抑え切れなかった声が漏れる。
「ふぁッ!んん〜〜〜〜〜〜ッ!」
鬼道が俺の中に放つのと同時に今日三回目の絶頂を迎えた。
鬼道は中に注いだというのに、俺の中から出ていかない。
それどころか俺の前をさわさわと触りだす。
「やっ、そっちはいいってば」
俺は手を押し退けようとすると、鬼道は何も言わず今度は反対の手で乳首まで触ってくる。
「もぅ!なんだよ、一体!!」
イったばっかなんだから、こっちはどこもかしこも敏感になってんだぞ。
そんな簡単に触って欲しくない。
それでなくとも刺激を受ければどうしたって体がくねる。
そうすると硬さを失ったとはいえ、未だ芯の残るソレが中で当たる。
「こっちはイかせたことなかったからな」
俺は怒ってるってのに、しれっとそう言うと、鬼道は手を輪の形にして俺の前を擦り上げる。
繋がったままでは逃げることもできない。
「ッン、やっ!…見んなってばぁ」
俺は嫌々と鬼道の視線を遮るように顔の前で手を振った。
これ、…ちょお恥ずかしいんですけど。
繋がったままなのに、鬼道に見られたままどんどんと男の部分が昂ぶっていく。
これってチームメイトにオナニー見られてるような気恥ずかしさがある。
でもそれだけってのともちょっと違うし。
なんていうか男の俺も鬼道のものになっちゃいそうな、そんな感じ。
それってマジで焦る。
でもでも本当に今は敏感になってて。
これっ、我慢できそうにない〜〜〜ッ!
「もお、出るッ!」
俺は結局繋がったまま呆気なく白濁した液を出してしまった。
しかも最悪な事に、鬼道の腹に思いっきり掛かった。
また鬼道が罰とか言い出さないか不安で、俺は鬼道の方を恐る恐る伺った。
鬼道はお腹に掛かったというのに怒ることもせず、掛かったモノを指で拭いとると自分の口に持っていく。
それで舌を出し指に付いた白いモノを俺に見せ付けるように舐めた。
「濃いな」
「!!」
自分が出した精液を舐められた上に、感想言われるとかって死ぬほど恥ずかしいぃ。
しかも今、平然としてたじゃん、コイツ!
「そんなこと、すんなってぇ〜!」
俺は真っ赤になった顔を、鬼道に絶対見られないように腕で隠した。
ソレ、俺の精液だぞ、精液!!
しかも俺のチンポから出たばっかりの搾り立てだぞ!!
なんで平気な顔でそんなもん舐められるんだよぉ!?
う〜〜〜……ッ、マジで俺の全部が鬼道のものになっちゃったみたいじゃんかぁ!!
俺はめっちゃ恥ずかしいっていうか、照れまくってるっていうか、まあ身悶えてたっていうのに、鬼道はまたそんな俺をゆっくりと揺さぶり始める。
「ひゃ、ゥんッ!!」
気づくと俺の中で鬼道がまた大きくなっている。
そんな連続で、俺、出来ないって!
「ま、またすんの?」
俺は顔を覆った指をほんの少し開いて、その隙間から鬼道を見上げた。
「諦めろ、恥ずかしがるお前を見たら催した」
「ハァッ!?何、言ってんだバ…ッ!」
俺は聞き慣れない鬼道の軽口にドキッとして上半身を起こす。
「もう少し、苛めたくなった」
「ひィ、うンンッ!」
鬼道は俺が起き上がった瞬間に、俺の一番弱い所をわざと狙って突いた。
急な刺激に俺は首を逸らす。
その拍子にまた倒れそうになった俺は咄嗟に鬼道の肩を掴む。
鬼道も背中を支えてくれてたみたいで、意図せずなんだか向き合って抱き合うみたいな体勢になってしまってた。
「……」
なんか…、気まずくてお互い黙りこくってしまった。
反射的にドキッとして、ドキッてしたことが落ち着かなくて。
さっさと貪ってくれればいいのに、鬼道も全然動こうとしない。
鬼道とこんなにも顔が近いのは、どうしても落ち着かない。
また瞳を覗いてしまいそうで、ぱっと俺は掴んだ手を離した。
でもその瞬間また鬼道がぐりりって奥を擦るから、俺の手はすぐ鬼道の肩を掴んでしまった。
鬼道が俺の腰を支えて、ゆっくりと動きだす。
そうなってしまうと、体はまた燻されたイカみたいに快楽に身をくねらすしか出来なくなってしまう。
俺はそのまま結局鬼道に抱きついたまま、四回も鬼道にイカされてしまった。
全部終わって着替えようとした俺はすぐよろめいてしまう。
鬼道が無茶するから、足腰が立たなくなってしまった。
鬼道はそんな俺を笑うと、何を思ったのか俺の脚を抱え上げた。
うわ、うわーッ!これお姫様だっこじゃん!
恥ずかしいけど、それ以上に足抱えられて抱っこされてるって状況は不安定で怖くて鬼道にしがみ付いてしまった。
下手に暴れて落とされたくない。
大人しくだっこされてる俺を見て、鬼道はフッと笑うとお姫様抱っこのまま俺をシャワールームまで運んだ。
はっきりとした女扱いが恥ずかしくって堪らない。
しかもシャワーで俺の全身を優しく洗ってくれる。
なんでこんなに今日は優しいんだろ…?
疲れ切った俺は不思議に思いつつも、鬼道の優しい手に素直に体を委ねた。
撫でるような手付きが気持ちいい。
弛緩した体からずるりとローターが出てくる。
「こんなんじゃ今日の部活は休むようだな」
鬼道が笑いを含んで俺にそう言う。
意地悪なその言葉だけがいつもの鬼道らしくて、俺は少しだけホッとしてしまう。
「部活どころかまっすぐ歩けないんですけど!」
俺が頬を膨らませて怒ると、鬼道は声を出して笑いだした。
鬼道が声を出して笑うのを久しぶりに見た気がする。
俺は、笑う鬼道を見て、俺も笑った。
その日俺は結局部活を休んで、鬼道の家の車で送ってもらった。
鬼道の家の車に乗る気になったのは、その日が初めてだった。
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