6*



「うわ〜、仁のここ、とろっとろ。
女の子みたいに濡れてるね」

わざと驚いた声で、影野の昂りに触れる。

「ほらほら〜」

溢れ出る先に触れ、指をゆっくりと遠ざからせれば、そこにつうーっと糸が引く。
それも全て影野に見せる為の行為。
案の定、影野は恥ずかしそうに顔を手で覆ってしまうけれど、
影野の泉は尽きることなく蜜を滴らせる。

先走りがわざと手に絡むように、そこを擦りあげる。
くちゅっ、くちゅっという音が目を瞑っていても影野の耳に入るように。

「ねえ、仁はどうしたい?
このまま手でイキたい?
それとも同じようにボクの口でしてあげよっか?
ねえ、…どうする?」
触れながらそう耳元で囁くと、覆っていた手が退かされ、
泣きそうな顔が姿を現す。

「やぁ…そんなの嫌ぁ…。
マックス、マックスが欲しいよぉ…」
泣きながら好きな子がこんな懇願してきたら堪らない。

「ん。りょーかい」
それでも、素直に喜びを表に出すこともせず、そう言う。
まだもう少しだけ、この『おねだり仁君』を満喫するつもりだった。

「じゃあさー、ボクが入れられるように自分でしてよ。
見ててあげるからさ」

「そ、それもしてくれないの?」

後ろを行為に耐えられる様に柔らかくするのは、いつもマックスがしてくれていた。
自分と一つになる為に時間を掛けて準備してくれるのが、いつも嬉しくて、
不浄の場所に触れられることも、恥ずかしい格好も我慢してたのに、それさえ今日はしてくれない。

影野の顔が悲しそうに歪むのを見て、マックスは慌ててその俯きがちな頭にキスを落とす。

「しないんじゃなくて、仁がするところが見たいだけ。
ボクが欲しくて頑張る仁が見たいんだ」

だから見せて?ボクに、エロい仁。
そう言って顔を覗き込めば、泣きそうだった顔に朱が戻る。

「できる?」
もう一度訊ねれば、赤い顔のままこくりと頷く。

「じゃあ、四つんばいになって」

マックスがベッドの上で体を起こしてそう言うと、影野は少しだけ逡巡する。
悩んだ末に、顔をマックスの方へ向けて四つんばいになる。
流石に自分の穴を自分で広げている所をマックスに直接見られるのは恥ずかしすぎる。
狭いベッドの上では、半分マックスに覆いかぶさるような格好になってしまう。

「いつもボクがやってる様にやればいいからね」
影野の指をたっぷりと嬲って、そう言うと影野はマックスから目を逸らして自分の後ろへと手を伸ばす。

「んっ」
目を瞑り、小さく声を漏らす。
マックスから見えなくとも、その声で指が入ったと分かる。
目を瞑った影野は目の前にいる自分を忘れて、だんだんとその行為に没頭していく。
後ろで、
そして自分の指で、
快感を得ている様子に思わず笑みが零れる。

「気持ちいいんだ?」
そう顔を撫でると、はっとしたように影野が目を開ける。
顔の直前にあるマックスの顔に、先ほどまでの自分の姿態を思い出して顔が熱くなる。

「ボクも気持ちよくしてよ」
そう言って影野の顔の前に差し出されるマックスの欲望。

「もう一回舐めて」
そう言えば、素直に舌を這わしてくる。

「指増やして」
そう言えば、そちらに影野の注意が戻っていく。

同時に二つの行為をさせているからか、影野の中からまたマックスに見られているという意識が薄れていく。
端から見ても激しい指遣い。
焦れたように揺れる腰。
荒い息と愛おしそうに自分のを舐めるやけに長い舌。

「えっろ」

自分が欲しいが為に、あの仁がここまで痴態を晒しているのだ。
否が応でも煽られてしまう。
影野の髪を撫でてやると、影野が辛そうに見上げてくる。

「もぉ…これっ、欲しい。
おねがぃっ、だからっ。
マックス…まっくすぅ」

ぺたんと座り込んで、それでも自分の穴を弄りながら自分を見上げてくる。
自分のモノを握って、そんな切羽詰った声で
言われたら今すぐにでも、自分のソレをぶち込みたい。
でも…。

「まだ、指二本でしょ?
まだ痛いよ?」

そう宥めるように髪を撫でても、影野は子供のように首を振る。

「痛くってもいいっ。
だから、はやくぅ」

そこまで言われたら自分だって我慢がきかない。
ベッドマットレスの下に隠してある物を取り出そうと体を起こすと、その手を影野が掴む。

「…そのままが、いい」

ああ、もう。
今日の仁は飛ばしすぎだ。

「仁の馬鹿。
お腹壊しても知らないから」


自分が想像していたよりも数倍上を行く破壊力を持った影野のおねだりの数々にマックスは思った。
こんなんじゃ自分が持たないから、変な小細工は金輪際止めようと。



 

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