5*



「ご、ごめん。やりすぎちゃった」

普段自分の非を認めないマックスが素直に謝罪の言葉を口にして、
影野に数枚のティッシュを手渡す。

流石に散々意地悪な言葉で煽って、半ば無理矢理自分のを舐めさせて、
その上頭を掴んで咽喉に届くくらい奥まで犯して、中で吐き出した自分の行為は、
頭と極一部に集まった血が全身にちゃんと巡った今となっては、逆に血の気が引くくらい反省に値する。

「ん?平気」
影野は手渡されたティッシュで口元を拭うと、そのままゴミ箱に捨てに行く。

「あれ?えっと〜…アレは?」
先ほど口の中で出してしまったアレ。
それを出すだろうから、何枚もティッシュを渡したというのに、口元を拭くだけで終わってしまった。

「あ、アレ?…アレはそのー…」
マックスの疑問に影野は途端に顔を赤くして口篭る。
暫くして、マックスから背を背けるようにベッドに腰掛けると小さく言う。

「…飲んじゃった」

「え!?」

「咽喉の奥の方だったから、そ、そのまま…」

その恥ずかしそうに言われた言葉に、もう一度マックスの頭に血が一気に戻ってくる。
さっきの自分の無茶な行動とか、飲んでも嫌そうじゃない影野の様子とか、
もう色々なことが恥ずかしくって堪らない。

「ほ、ほら早くうがいしてきなよ」

「で、でもこんな格好だし…それに…」
無人とはいえ、余所の家を全裸でうろつくことの方を嫌がって影野は首を横に振って、口篭る。
それに、服を着てうがいに行くのも嫌だった。

だって、
…だってまだ、続きがしたい。

ちらりとマックスを見てもそんな影野の気持ちにはさっぱり気付く様子はない。

「じゃあ、とりあえずコーヒー飲みなよ」
そう言って渡してくれたコーヒーはすっかり冷めてしまっていた。

自分の体は今だ火照ったままで今すぐにでもして欲しいのに、
その冷たいコーヒーはマックスと自分との温度差みたいで悲しかった。
それでも自分を気遣うマックスが嬉しくてこくりと口に含む。
ゆっくりとマグから口を離すと、自然と溜息が漏れてしまう。

あれだけやっても、マックスは俺としてくれない…。
やっぱり嫌いになったんだ。

自分を気遣ってはくれるけど、続きをする様子も無いマックスにどうしても心がざわめく。

また泣きそうになって両手でマグカップを持って俯いていると、
すっとマグカップを自分の手から取り上げられる。
動くマグの先にはニコニコしてるマックスがいた。

「もう口の中、変な味しない?」

「うん…」

「良かった!」

影野の言葉ににこっと笑うと、すっと顔を近づけてくる。

「だって自分の味なんて知りたくないし」

べぇっと舌を出してそう言うと、そのまま影野の口の中を舌で確認するように動く。

「うん、ちゃんとコーヒーの味がする」

唇を離した途端にそう言うと、すぐまた唇が重ねられる。
そして、唇を重ねたまま、弄られる胸。
そんなことをされたら、もともと火照った体は簡単に火が点く。
散々焦らされたせいか、いつもよりも感じてしまう。
いつもは必死で我慢している声だって出てしまう。
そんな様子にマックスはくすくす笑いながら、影野の体に触れる。


「仁はボクとする為なら飲んじゃうのなんて平気なぐらいしたかったんだもんね。
・・・いいよ。思いっきりボクを感じてよ」


 

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