松風天馬の突撃!隣の晩御飯



『おーい、信助ー!輝ー!聞こえてるー?』

「うん、バッチリだよー。天馬、頑張ってねー」

「こっちも実況頑張るから、天馬君もしっかりねー」

『うん!俺、頑張るよ!!』




えー、突然始まりました『松風天馬の突撃!隣の晩御飯』!!
こんばんわ、実況は私、西園信助と。
こんばんわー、解説、影山輝でお送りします。

今日記念すべき一回目は我等が雷門中が誇る孤高のエースストライカー、剣城京介君のお宅に突撃するみたいですね。
あ、天馬が緊張の面持ちでインターホンを押しました。
そうですねー、剣城君はプライヴェートを可能な限り隠すタイプですからね。
どんな私生活を送ってるか情報がほとんどありませんから流石の天馬君も緊張してもおかしくありません。
あ、今まさにドアが開きました。
おーっと、中から現れたのは優一さん!優一さんです!!
なんと優一さんが車椅子で現れました!!

『いらっしゃい天馬君。どうぞあがって』

眩ーい!
白いシャツに黒のスラックスというトラッドな服装に濃紺のエプロンを身に着けた優一さんは眩いばかりです!!
年上ならではの包容力ばっちりの微笑みが早くも炸裂しましたー!
三国さんの包容力が暖かいお母さんだとしたら、優一さんは優しいお姉さんって感じですよねー。中学生には堪りません。


『うわあ優一さん、退院したんですか?』

『まさか。天馬君が遊びにくるって聞いて、一日だけ許可を得て戻ってきたんだよ。
俺も料理作ったから、沢山食べてってね』

おっとー、ここで天馬、優一さんの魅惑の微笑みを物ともせずやや天然気味に返したぞー!
これがフラグを量産する秘訣ですね。
僕も見習いたいものです。

優一さん、天馬を伴ってキッチンへ移動!
ここで漸く登場!剣城です!
剣城が不機嫌そうにキッチンの壁に寄りかかってます!
何故かいつもの前を全開にした薄紫色の学生服姿に優一さんとお揃いのエプロンを着けています!
う〜ん、あの学生服は私服なんですかねー?
剣城君はキャラが濃すぎて何気に何を着ても似合いませんし、苦肉の策でいつもあの格好なのかもしれません。


『なんだ本当に来たのか』

『ハハッ、わざとそんな憎まれ口をきいたりして。
天馬君、口ではこんな事言ってるけど実際に朝から準備を張り切っていたのは京介の方なんだ』

『兄さん!』

不発だーっ!
剣城得意のツンデレ発言も優一さんにかかれば、子供の照れ隠しとなんら変わりません!
案の定流石の剣城も頬が少し赤くなっています!


『今日はグラタンを作ったんだけど、ホワイトソースも缶詰じゃなく京介が作ったんだ。
あ、ほら京介、いい感じに出来てるぞ?』

『うわあ、いい匂いー!
すごいね剣城!こんなの自分で作れちゃうんだ!!』

優一さんがオーブンから取り出すのを天馬が脇からワクテカの表情で覗き込みます。
そして、そこからの…キターッ!二人揃って振り返ってのキラキラの笑顔!!
100%の笑顔がしかもWですからねー。
これは剣城にとっては堪らないんじゃないんでしょうか!?
あ、見てください西園さん。
キラキラに耐え切れなくなって剣城君が視線を逸らしましたよ!
幸せをかみ締めてるんでしょうねー、きっと。


『勘違いするな。
兄さんが帰ってくるから作ったんだ。
お前はあくまでついでだからな』

こうなってくると、剣城君のツンデレ発言も可愛く見えますねー。
敗北寸前の捨て台詞にしか見えません!!

『ついででも剣城の手料理が食べれるんだったら、俺、嬉しいよ!』

ここでほぼ死に体の剣城のツンデレ発言を天馬が見事に返したーっ!!
これまた計算じゃなく天然ですからね、末恐ろしい!
これは最早トドメじゃないですか?
まだ食事も始まっていないというのに、早すぎますよ。コレ!


『京介、料理運ぶの手伝ってくれないか?』

『あ、俺が手伝います!!』

だがしかし、ここでお約束の展開だーっ!
優一さんに声を掛けられて天馬は自分の爆弾投下に気づいていません!!
剣城君が真っ赤になった顔を片手で隠したのさえ、天馬君は見てないんじゃないでしょうか?
でもこれで剣城君は一息つけますね。
食事が始まるまでに体勢を整えて欲しいものです。

ん?なんでしょうか、剣城の様子がおかしいようです。
顔を抑えていた剣城は、天馬の視線が自分から逸れたのを確認して小さく安堵の息を吐くと、エプロンをダイニングの椅子に投げ捨てました。
そして、ここです!
ここでキッチンで楽しそうに談笑しながら準備をしている天馬と優一さんを見て、微かに眉を寄せました!!
そしてハッと何かに気づいたような表情をした後、苛立ちを隠しきれないといった表情でダイニングテーブルの椅子にドカリと座りました。

影山さん、剣城のこの行動をいかがご覧になりますか!?
そうですねー。
一般的に考えて、最初に眉を寄せたのは天馬君と優一さんの仲睦まじい様子に対する嫉妬と考えていいんじゃないでしょうか。
剣城も自分の嫉妬に気づいたんだと思いますよ?それでそんな自分に苛立ってしまった、と。
ほうほう、そう考えれば納得ですね。
ここからは自分の推測なのですが、剣城は天馬君ではなく優一さんに嫉妬してしまったのではないでしょうか?
と言いますと?
兄の優一さんが、自分と違って簡単に天馬君と打ち解けている訳ですよ。
血が繋がっているからこその劣等感、そして今まで誰よりも大切な存在だった優一さんに対して嫉妬してしまった罪悪感。
もうね、想像しただけでご飯3杯はいけるってものです!
なるほど!それはこれからの展開に目が離せませんね!!


『あつっ!』

『大丈夫っ!?天馬君!!』

おっと、ここでグラタンを運ぼうとした天馬が熱い皿に触れてしまったようです。
ガタッと座っていた剣城も立ち上がり掛けます。
ですが、優一さんが天馬の手を握り火傷をしていないか確認しているのを見て、動きを止めたーっ!!
これはナイスハプニングですねー。
一気に事態が進行する可能性もありますよ!!

あーっと、ですがここでお時間のようです!!
本当ですか!?西園さん。ここからがいいところだったのに!
しかも料理一口も口にしていませんよ、彼ら(苦笑)
残念ですが第一回はここまでのようです!
では、また次回『松風天馬の突撃!隣の晩御飯(三国さん編)』でお会いしましょう!
さよーならー!!

prev next




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -