剣城くんのシード養成講座



「なあ、剣城。お前元シードだろ。
だったら化身が出せるようになる特訓方法とか知ってるんじゃないのか?」

「み、南沢っ」

西園が化身を出した事に一抹の悔しさを滲ませた三国を、つまらなそうに一瞥した南沢はグラウンドの片隅に居る剣城に声を掛けた。
三国が慌てて止めようがお構いなしだ。


「……まあ、知ってはいますけど」

たっぷりと間を置いて返ってきた剣城の言葉。
それは言葉の端々から、「思い出したくもない」という雰囲気と聞くなという空気が漂っている。

「じゃあ、三国にそれを教えてやれ」

その突き刺さるような空気など、簡単に無視して南沢は言葉を続ける。
傍らに居る三国は急な事態に困惑の表情を隠せない。

フィフスセクター流の特訓なんて、と。
今更剣城の古傷を抉る様な事を強いるなんて、と。
そう斬って捨てるには、「化身」という存在は眩しすぎた。
剣城の真意を問うような強い視線にも三国は羞恥に染まる顔を背けて避ける事しか出来ない。


「……分かりました」

何が分かったのか。
三国を見つめ続けた剣城は全てを納得したように目を閉じて薄く笑った。
そして用の無くなったグランドを背にする。
…口の端を傾け、その場に居る全員にこう告げながら。


「じゃあ、明日、サッカー棟の室内練習場で。
地獄ってやつが知りたければ御勝手に」



 

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