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「う、嘘…ッ!?」
壁に寄りかかりながら霧野はスカートの向こう側でイヤラシイ音を立てながら顔を上下させる教師に瞳を驚愕で見開く。
生徒指導室という学校の中でも特に風紀を遵守されるはずの空間で、学校で行われてはならない淫らな行為が今霧野の目の前でなされたいる。
「ぁ、ンッ!ン…、…ンンッ!…ぁ、…ぁ、ゃぁーーー……ッ」
すぐに頭を占めたのは、教師の異常な行動を止めなくてはという思い。
霧野は急いで自分の性器を咥えて上下する教師の頭を手で押さえた。
でも押さえてるつもりなのは霧野唯一人。
艶かしい声を漏らしながら教師の髪に指を這わせる様子は、快感にむせび泣いているようにしかみえない。
「…ぁ、…ヤッ!…こんなッ、……おか、…し……ッ!」
涙を浮かべて首を振ってみても、汗ばんだ身体に髪が張り付くだけで教師は止めてくれない。
認めたくない快感から逃げるように霧野は脚を閉じ、ずるずると後ろへと倒れていく。
「ん、アアッ!」
後ろへと重心が下がった事で、期せずして霧野の露出した先端が教師の口蓋を擦ってしまう。
しかも同時に裏筋を舌で刺激され、霧野はここが校内であるのに咄嗟に大きな声を出してしまった。
閉じた脚がひくんと大きく痙攣して、教師の顔を柔らかく挟み込む。
「フッ、イヤラシイ声だな。
先生を誘惑しようとしてるのか?」
「そんな…ッ!そんな事してないッ!!」
教師と霧野の目が、スカートが捲れほとんど露になった太腿越しに目が合う。
教師の手は霧野の太腿を掴んでいた。
教師の手が閉じてしまった霧野の脚を押し広げていく。
「ンンッ!」
「そうか?だが誰が見たってそう見えるぞ。
こんなに一人で興奮してイヤラシイ音をさせて、ホラ、ここまで滴らせてる」
教師の指が下着の中を先端から裏筋、睾丸を通り過ぎ、更に奥へと目指していく。
どんどんと教師の腕に押されて霧野の下着がずり下がっていく。
「アッ!駄目ッ!!そこ、ハァ…ッ!!」
「なんだ、お前はこんなところまで女みたいなのか!
男を受け入れる為に勝手に濡れるなんて男のくせに便利な穴だな」
くちゅり、とめり込むように体内に感じた教師の指に霧野の背が縮こまる。
女性と違って一つしか存在しない霧野の入り口は、それこそ滴り落ちた霧野の先走りと教師の唾液でぐちゃぐちゃに濡れていた。
当然後孔が愛液を分泌しない事ぐらいの基礎的保健知識を教師は保有している。
だがそんな基礎知識よりも、この美しい少年が愛液を分泌する妄想の方がより相応しく感じた。
そう思えるぐらい霧野の美しさは性差を超えていた。
その気の無い教師が躊躇無く少年のペニスを咥えられるぐらいに、霧野の美しさと倒錯めいた色気は際立っていた。
教師は霧野に指を挿入したまま、再度霧野が男である唯一の証である屹立をその口に含む。
挿入される場所と挿入するものを同時に愛でようとしたのだ。
女のようで男であるこの少年に、それはこの上なく相応しい行為に感じられた。
「変態霧野は露出癖もあるのか?
…声を抑えないと誰か来るかもしれないぞ」
「ッ!!……ッ、く……、……ッ!ッ!…ッアッ」
霧野が教師の言葉に、自分の口を手で塞いだ。
元々弱かった抵抗が更に弱まってしまう。
口を塞いだ手は堪えきれない声が溢れる度に、一度出た声を口に戻そうとしているかのように口元をもどかしげに蠢いた。
歪んだ唇が霧野の口元と指を淫らに濡らしていく。
「…ッ!ッ!〜〜〜ッ!…ぁ、もぉ…や、ぁーー……」
声を抑えなければいけない。
そもそもこんな行為はいけない事で自分も望んでいない。
沢山の禁忌を犯してるという思いが霧野を苦しめる。
心が散り散りにぼやけていく。
「〜〜〜ッ!〜〜〜〜ッ!!…ッ!ハァッ!!」
してはいけない事だというのに、教師の手や口は遠慮が無さ過ぎた。
そしてそれに抵抗するには霧野は少し幼すぎた。
性的刺激を他人から受けることに慣れていなかった。
未熟な身体は簡単に大人の手に翻弄されてしまう。
「ッ!…アッ、アッ!ヤッ!もぉッ、もぉッ!!」
霧野のもう片方の手がヒクヒクと床に爪を立てる。
その指先は爪など食い込むはずもない硬い床のせいで白くなるほど強張っている。
口を覆った方の手はもう切なげに霧野の咥内に半分潜ってしまっている。
無意識に指を切なげに咥える舌が霧野の限界の近さを教えている。
「…でひょうか?」
「くぅ、ンッ!
…あっ、あ、あ、出ちゃ…、出ちゃ、うッ!出ちゃうぅぅぅッ!!」
教師の口が言葉を発する動きに準じて不規則な動きを急にする。
口の中にあった霧野のペニスが生暖かい舌に押し潰される。
その思ってもいなかった動きに、濡れた方の指もがりりと床を擦った。
両手を床に爪立てて、霧野の腰がびくりと跳ねるように浮く。
「〜〜〜〜ッ!ああああーーーッ!!」
狭い生徒指導室に霧野のか細い声が木霊する。
それは欲望の爆ぜる音色を含んで淫らに響いた。
教師の喉が粘ついた体液を嚥下する音を立てるまで、その淫らな余韻は続いた。
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