7*



「おち……ッ!」

神童はベータの言葉を反芻することさえ拒んで真っ赤になって唇を噛んだ。

――なんだその恥知らずな言葉は……!

なんで自分を拓人と呼ばなければならないのか。
しかも性器の事を「おちんちん」、上下運動を「ぐちゅぐちゅ」と何故幼い言い方をしなければならないのか。
神童はあまりの意味の分からなさに怒りさえ覚えていた。
あまつさえこんな男とキスなどと……!
神童は激しい怒りを込めて、自分を押さえつけている男に振り返った。


「神童様……」

「……ッ」

自分が振り返った途端に切なげに囁かれた名前に、神童はギクリと身体を震わせた。
下男の顔は神童が思っていたよりも近い位置にあった。
神童が背後の男の存在を忘れていただけで、男はすぐ傍で神童の痴態を熱の篭った瞳で最初から見つめていた。
男の欲でギラギラとした眼差しに今更その事に気づいた神童は、急に男に手足を押さえられ全身を男に凭れている状態に居心地が悪くなってきた。
ベータの与える快感から逃げるように、自然と神童は男に凭れていたのだ。
そうなると途端に男と接している肌が、そしてその汗ばみが気になりだしてしまう。


「ふふっ。
ホラ!この子がおねだりしやすいようにお前も協力してあげなさい」

「はい、ベータ様」

ベータの言葉に男が諾々と頷いた途端、神童の身体がふわり抱き上げられた。


「あ…ッ!」

そして神童の身体は男の腰の上へと着地した。
神童の剥き出しの下半身に、下男の猛った性器が密着する。
それはゴリゴリと硬く、無視するには太く大きすぎた。
自分に対して発情している様をまざまざと見せ付けられ、神童は思わず赤面した。
未来に来てから性的に値踏みされるように見られる事はあっても、ここまで欲望をあからさまに自分に向けられたのは初めてだった。
しかも自分の方は何も纏っていない裸体なのだ。
勃起した性器の上になんてジッと座っていられない。


「くッ、ふぅ…ッ」

だが神童が身じろいだだけで少しの刺激をも欲していた神童の下半身は貪欲に快楽を拾いあげた。
男の硬くなった性器が睾丸を掠めただけでハシタナク声を上げた神童に、ベータは恥じいる暇さえ与えない。
男の性器の感触に意識を取られた神童の乳首をまたレロリと舐めた。


「ひぃ、くぅう……ッ!」

「あらぁん、こっちも忘れちゃ嫌ですわ」

ベータが胸を舐めると、どうしても身体が快感から逃げるように背が撓る。
そうすると男の胸へと身体が密着する。


「ハァ…ッ、神童様……ッ」

「んッ、やぁぁ、やらああ」

トンっと背を付けるとすぐさま耳の後ろに男の切羽詰った吐息が掛かる。
神童の脚を押さている手も太腿へと移動し、滑らかな感触を楽しむように撫でられている。


「あうぅぅぅ!
やらぁぁぁ!こえ、やらああぁぁぁ!」

神童は一気に増えた快感を生む箇所に、頭を振った。
乳首は勿論、男が舐める耳朶も、愛でるように撫でられる太腿も、それどころか男の発する発情の空気でさえ神童の中の欲を煽った。


「ひぃうぅぅ…、ハァッ!もぉ…、やらあぁぁぁ……ッ!」

しかも快感に少しでも身体をヒクつかせると、性器同士が擦れてまた新たな快楽を生んだ。
神童は逃げ場のない快楽の連鎖に頭を振りまくる。
もう頭の中は欲望の放出しか考えられない。


「ほら、イキたいんだったらおねだりでしょ?
『おちんちん、ぐちゅぐちゅしてぇ』って言いなさい!」

「んああッ!」

命令と共に乳首をクリリッと捏ねられ、神童の口から甘い悲鳴があがる。
イキたい……!
頭を占めるのは射精することばかり。
だが神童はそれでもベータに屈する事は出来なかった。
一時の快楽で自分を貶めたくない……!
その思いだけで、神童はまた首を振った。
今度は断固とした否定の意味を込めて。


「強情ねぇ。
まだ十分以上残っているのに耐え続けるつもりなんですかぁ?」

「ああぁぁんッ!」

傍目にも限界ギリギリであるのにまだ拒否を続ける神童に、ベータは呆れたように呟くと神童の乳首をチュウッと吸った。
そしてもう片方の乳首をキュッと摘んだ。


「ひゃあッ!アッ、アッ、やらぁ……ッ」

胸に顔を寄せたベータに、神童は前からも密着され身悶えた。
ベータの甘い芳香が神童の鼻を擽り、ノーマルな性癖を持つ神童の性欲を煽る。


「アー…ッ!アー……ッ!もぉ、やらぁー……ッ!!」

神童は頭がおかしくなりそうだった。
全身の至るところから快感が生み出されている。
全身に欲から生まれた熱が回って、息さえ満足に出来ない。
それなのに全身でただ唯一、欲望を吐き出す場所だけが快楽を与えられていないのだ。
どれだけ神童が腰を振りたくっても、そこにはもどかしい微かな快楽しか生まれない。


「く、苦ぅひ……ッ、もお、むりぃぃ……ッ!」

「ならおねだりでしょ!」

「ヒィ、ぅ……ッ!」

ベータが叱責と共にピーンとオナホごと神童の性器を指で撥ねた。
神童は急な刺激に最早訳も分からず、はくはくと息を求めて口を開けた。
開いた口からはたらりと涎が零れ落ちる。


「ア…ッ、ア…ッ、アァ…ッ!」

一瞬跳ね上がった快感のバロメータは、より渇望を強めただけだった。
神童は流れ落ちる涎を拭う事さえ一片も頭の中には存在せずに、ただ声を上げた。
苦しいぐらいに出口の無い快楽が行き場を求めて、全身を苛んでいる。
満足に出来ない呼吸に、神童の頭がどんどんと白くなっていく。
そして真っ白になった瞬間にそれは起こった。


「アッ!?アッ!アッ!アアアアーーーーッ!!」

それは塞き止めていた濁流が一気に神童を飲み込むかのようだった。
ブシャアッとどこかが弾けたような感覚と、出口を見つけ一気にそこに雪崩れ込む快楽に、神童は気が狂いそうだった。
下半身がヒクヒクと痙攣しながら、凄い量の精を放っている。
ぐちゅうっとぬめりを一気に増したオナホが最後まで搾り取るように性器に絡みつく。


「あぁー……、ぁ…」

長い放出に神童が惚けたような声を漏らす。


「ね、乳首だけでイケるようになったでしょ」

霞む視界の中でベータが嘲るように神童を見下ろす。
ベータの言葉通り、神童は性器への刺激も無しに射精していた。
下品な言葉でねだる事を拒否した神童は、限界を超えて我慢してしまった。
結局神童は自分の強情のせいで自分を追い詰め、そして乳首の刺激だけで射精してしまったのだ。
乳首だけでイク。奴隷のようにハシタナクねだる。
そのどちらかを自分はせざるを得ない状況に置かれていたことを神童は漸く気づいた。
神童は気付いた時には既に、幾重にも貼られたベータの罠に絡め取られてしまっていた。
 

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