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「ッ、…あ、……ぁ、に?」

見慣れない道具に神童は慄き、ほんの少しだけ体重を後ろに移動させた。
ままならない身体は、神童の思うように動いてはくれない。
ベータの言葉は、神童が危惧していた事態をこれから引き起こすと宣言したも同然だ。
しかも何回も、何回も。
それでなくても今までの刺激で充分な程に神童は追い詰められていた。
怯えた表情を隠す事もしなくなった神童に、ベータは満足そうに微笑むと、小瓶のキャップを小気味良い音を立てながら開けた。


「フフッ、痛い事はしませんからそんなに怯えなくても平気ですよぉ。
死にそうなくらい気持ち良くさせてあげますからぁ」

「う、あぁ……っ」

言葉と共に粘着性の高い液体がとろ〜りと傾けられた小瓶から神童目掛けて降ってくる。
引き締まった腹筋に掛かり、それはそのまま身体に沿って神童の裸体を流れ、閉じられた脚の間を伝っていった。
性器を濡らし、後孔へと流れていくその感触に、神童は動きの鈍い口から小さな喘ぎ声を漏らすと、すぐさまだらしの無い声ごと唇を噛み締めた。


「脚」

「はい、ベータ様」

ぎゅうっと力を込めていたはずの脚は、簡単に下男にこじ開けられてしまう。
計測されていた時より更に不浄の場所に至るまで広範囲に亘って恥ずかしい部分が視線に晒されていく。
ぱっくりと開いた脚は無防備で、羞恥心を煽るだけではなく神童を堪らなく不安にさせた。
……怖い。
こんなに全身に力が入らないんじゃ何をされても抵抗出来ない。
しかもその「何をされるか」さえ神童には見当がつかなかった。


「あらぁ、貴方って本当にウブですのね。
これが何か分かりません?多分21世紀にもありますよぉ」

ベータはそう言って手にしたものにも小瓶の液体をぶちゅうッと中に流し込んだ。
筒状のクッションのように見えた肌色のソレは、どうやら穴が開いているらしい。
ベータが中の空気を抜くように手を動かすと、くちゅ…、ぐちゅ…とどことなく卑猥な音がする。
21世紀のオナホとほとんど変わらない造形をしているにも関わらず、初心な神童はそれが何か思い至らなかった。


「し、知ぁ…、にゃ…ッ!」

神童は呂律の回らない口で懸命に答えながら首を振った。
舌なめずりをせんばかりのベータの顔と、その淫靡な雰囲気を漂わせた見知らぬ道具が怖くて仕方がない。


「うふふ、ほらぁ、こーやってぇー……。
ね?気持ちいいでしょぉ?」

神童の必死の拒否にも関わらず、ベータは有無を言わせず卑猥な道具を神童の露出した性器へと近づけていく。
性器へと穴が密接した時、神童はその筒状の物体が穴の周辺だけピンク色をしている事に気づいた。


「う……っ、やぁぁ……ッ!」

そしてぐちゅりと音を立てながら自分の性器を飲み込んでいく感触に、神童は思わず腰を引いた。
ピンク色の襞が性器を優しく包み、内部には柔毛のようなものが付いているのか先端の小さな穴を刺激し、全体に細やかに絡み付いてくる。
強い圧迫感は無いものの、性器を動かさなくとも挿入した状態だけでも背筋がゾワゾワするほどの気持ちよさが神童を襲ってくる。
無意識のうちに腰を動かしてしまいそうな程の快楽に、神童は少しでも気を紛らわそうとまた首を振った。


「ふぅ〜……ッ、クッ!、うぅ〜〜……ッ」

「そうそう。
まだまだ我慢ですよぉ」

根元までオナニー用のホールを装着しただけで涙目で首を振った神童にベータはにんまりと笑うと、これからが本番とばかりに神童が羽交い絞めにされているベッドへと身を乗り出した。


「これから私が貴方を可愛い奴隷ちゃんにしてあげますからぁ。
まずはこの無駄にピンクなおっぱいから始めますね」

「んああっ」

語尾にハートマークが見えるぐらい上機嫌でベータはそう言うと、戯れにツンと神童の乳首に人差し指で触れた。
その瞬間、神童は性器を覆う淫らな道具が動き出したかと思った。
ハッとして視線を落とすも、ただのオナニーカップであるソレは決して勝手に動き出すことはない。
先程と変わらずに神童の性器に鎮座している姿に、神童はぞわっと身震いした。
その道具が動いたように思えたのは、胸の刺激に神童の中で反射的に射精感が込み上げ性器が大きく痙攣しただけだったのだ。


「うふふ〜、感度は良好みたいですねぇ。
これからおっぱいだけでイけるようなイヤラシイ身体に変えていきますからぁ」

笑うベータの顔も神童には目に入らない。
胸への刺激で射精するなんて事があり得るのだろうか……?
神童は今、自分の身に起こりそうだった現実を受け入れられずに顔色を失った。
今まで神童が経験した射精は己の手によって性器を刺激する事で起こっていた。
性器以外の部位への刺激で射精が起こるメカニズムがそもそも神童には理解できない。


「…ぃ、嫌…らぁ……ッ」

神童にとって先程のベータの宣告は、ただの無謀な挑戦にしか聞こえなかった。
元々無理な事を目指して身体をこねくり回されるなんて堪ったものじゃない。
抵抗できない今の状況で変な事をされるのは真っ平ごめんだった。


「あらぁ、貴方に拒否権なんてありませんよぉ?
嫌ならリングが完成するまで、せいぜい射精しないように我慢する事ですわね。
たかだか三十分ですもの。
胸だけしか私は触らないんですもの、我慢するのは簡単でしょ?」

だがベータは神童の拒絶など意にも介せず、ニッコリと笑った。
そしてゲームのスタートの合図のようにゆっくりと神童の胸へと指を伸ばす。
それはベータにとっては楽しいゲームでしか無かったが、神童にとっては拷問のスタートを意味していた。
淫らで、残酷な拷問の……。


 


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