堕ちる
その瞬間、神童は全てを悟った。
今、自分の身に何が起こっているのか。
男が語った「レイプ」という言葉。
止めてほしいと懇願したのに、霧野が必要だと言った行為。
それら全てが今、神童の中でとある答えに結びついた。
……実感を伴って。
――犯された…。
自分の中に感じる熱い物体。
指なんかとは比べ物にならないぐらいの圧迫感と熱の正体が何か、神童は気づいてしまった。
ずうんと感じる凄まじい異物感に神童の心が真っ黒に染まっていく。
その異物感が自分の中に男の性器が存在する事を如実に感じさせた。
「いいぜ、タクト君のケツマンコ。
おら中にあんの感じんだろ?おっちゃんのチンコ」
「〜〜ッ」
ぐりっと奥を抉られて、その衝動で神童の体が前へと押し上げられる。
手をついて下を向いたままの神童の顔から涙が前へと飛んでいく。
顔なんて上げられない。
声だって出せるはずがない。
だってすぐそこに霧野がいる。
神童は身を縮めるように、繋いだ霧野の手に顔を寄せるように蹲った。
嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ!
奥を突くような男の深くゆっくりとした律動を感じる度、ポタポタと霧野と神童の重なった手を涙が間近で濡らしていく。
「声我慢しなくったっていいんだぜ、っと」
その言葉と共にぐいっと、神童は腕を後ろに引かれた。
手綱を引かれた犬のように神童の体が弓なりになる。
離れてしまった片方の手。
強制的に広がる視界。
目に入った霧野の顔。
「やあっ!」
神童は弾かれたように顔を伏せた。
――こんな、こんな顔を霧野に見せる訳にはいかない。
……こんな男の汚らわしいペニスで感じてしまってる顔なんて!
強制的に顔を露にした状態にした男は、それまでの奥まで馴染ませるようだった緩やかな動きを、浅く速く男根を神童の腹部に擦りつけるような動きに変えた。
「〜〜ッ!…ッ!〜〜ッ!〜〜ッ!」
肥大した神童の前立腺の上を男の屹立が何度も何度も速いペースで刺激していく。
イク寸前だった神童の体が、その度に悦びで脳へと向けて快感のシグナルを送っていく。
ぐずぐずのソコが、硬いもので擦られて悦んでいた。
欲しかった刺激を与えられて、燻っていた炎は簡単に業火になった。
「ッ!ッ!ッ!〜〜ッ!」
その本能のような衝動を神童は懸命に心で抑えていた。
駄目だ、駄目だと霧野の手の感触だけを思い浮かべて懸命に堪えていた。
それでも、ただ声を抑えるのだけで必死だった。
神童の食いしばった口の端から、男の突き上げに合わせて弾んだ息が漏れる。
目も快楽を堪えるように細められ、男のペニスが前立腺を擦る度に、我慢出来ずに閉じられる。
声が出ていなくても、神童が快楽を感じているのは一目瞭然だった。
「おらっ、タクトも認めちまえよっ。
あんちゃんは気持ち良さそうだぞっ」
ぐいっとまた奥を突かれると同時に更に手を引かれる。
神童の背が弓なりになったのは手を引かれたのだけが原因では無さそうだった。
男は腰を密着させた状態で、神童の顔をもう片方の手で掴む。
こじ開けられる神童の口。
そして霧野に固定された神童の視界。
「んぁっ」
自分と同じように汚い男に犯されている霧野の姿を捉えて、思わず神童の口から声が漏れる。
目を閉じて細かく浅い息を繰り返していた霧野が神童の声に反応して、ゆっくりと目を開ける。
その瞳ははっきりと欲で濡れていた。
「たくとぉ…。ハァッ、きもち…イ?」
弾んだ息と共に霧野が神童をはっきりと見据える。
見られた、と神童は心が急速に冷えるのを感じた。
「んあぁぁっ」
それでも、ずんと男が奥を突いた衝動に一度漏れてしまった声を我慢する事は出来なかった。
嫌で嫌でしょうがないのに、霧野が見てる前でも男は律動を止めない。
自分の体も浅ましく快楽を拾ってしまう。
「やっ!…やっ!みな…っ、みる…なっ!」
懸命に首を振ってみても、
息が弾みちゃんと紡げていない言葉で言い募ってみても、否定なんて全く出来ていない。
「たくとっ、…ん、気持ちイイ、よ?
たくと、…、も、ンッ…ハアッ、きもち、イイッ?」
「おらっ聞いてるぞ、答えてやれよ!タクト!」
霧野と霧野のペニスを擦りあげながら背後から犯している男が、激しく交合いながら聞いてくる。
そのうだるような淫靡な熱気が神童にも纏わりつく。
おかしくなってしまいそうだった。
自分の背後からの激しい突き上げに合わせて、霧野も同時に背後から突かれる。
喉が反り、二人の顔がその度に近づいては離れていく。
深い快楽を感じる度に、霧野の恍惚の表情が近づいてくる。
霧野の吐息が掛かる。
いつしか神童の声から泣き声ともつかない喘ぎ声が漏れ始めた。
「…ふッ、ごめっ、…ごめっ、霧野ぉ。
ごめんなさ…っ!気持ち…イイ、…気持ちイイんだ…っ!
許して、霧野おぉっ!」
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