溺れる



「霧野っ!あつ…っ熱くて堪らない…。
はぁっ…おねが…どうにか…してくれっ」

全てが信じられず、全ての事柄に疑心暗鬼になった神童が、唯一変わらないと、変わっていないと思えたもの。

それが自分を『神童』と呼んだ霧野だった。

いつもと変わらない呼び方。
いつもと変わらない優しい響き。

信じられるのは霧野だけ。
…恐怖から逃げるように神童は霧野をただ信じた。


「はぁっ、なんで、だ…?
んんっ!わかんな…急に、…熱くなって…あっ!んっんっ」

命じられるままに霧野だけを見ていたら、全てが消えた。
恐怖も不安も。
そして穢れた場所に触れられる嫌悪感も。


「声…もっ、…勝手に、ん、くっ!出ちゃ…うんだ。
ど…しよ、…ど、すれば、ぁあっ、あっ、あっ」

「いいよ。もっと出して。
俺に可愛い声、もっと聞かせて。
拓人にもっと気持ちよくなって欲しいんだ」


自然と戻ってしまった神童の呼び名。
だが、もう神童にはそんな事は些細な事だった。
霧野の言う事、霧野のする事。


霧野が全てだった。


「霧のぉ…、きり、のぉっ。
…んっ!ハァ…ッお尻で、きもち、…く…なって、ぃいの、か…っ?」

神童が未知の恐怖から、…快感から逃げる為、まるで子供が教えを請うように霧野に縋った。
もう躯は快感に支配され、聡明な頭脳は見る影も無い。
そこに居たのは、素直で、脆い、素の神童だった。


「いいよ。
拓人覚えておいて?
拓人は俺にお尻を弄られると、すっごく気持ちよくなって、俺が欲しくて堪らなくなっちゃうんだ」

霧野もあどけない幼子に語りかけるように囁いた。
そう、まるで無垢な子供に新しい知識を刻み込むように。

「んっ、…俺、きもちぃッ!
霧野に、お尻、…ンあッ!ぐちぐちされて、う…アアッン!」

「…可愛い」

頬をピンクに染め、目には涙を浮かべて縋ってくる神童に霧野はちゅっと耳に口付ける。
そして慣れてきたソコにそっともう一本指を添える。


「指、増やすよ。
ほら、よぉーく覚えるんだ。これが俺の指。
俺以外で拓人は気持ちよくなっちゃ駄目だからね」

「んっ、俺には霧野だけぇ…っ。
きりのぉっ…きりのぉ…っ」

素直に霧野の言葉を繰り返す神童はもう心も躯もぐずぐずに開いていた。
トロトロに解れたソコは霧野のしなやかな指をぬぷぬぷと呑み込んでいく。


「アアッ!」

神童の背がしなる。
突き出すように差し出された胸に霧野が顔を寄せる。


「アッ、アッ!…だめぇ!そこだめぇ!!
…ばかになっちゃ!ばかになっちゃうぅッ」

ぴちゃぴちゃと赤い舌が神童の胸の先を子猫のように舐めている。
勿論霧野の指は神童の中に刺さったままだ。
きゅううっと神童のアナルが快感に蠢く。


「ならないよ。
もっと俺でいっぱいになるだけだ」

くすりと笑って霧野は神童の中にある指をぐるりと回した。

「ひぃアアッ!」

その瞬間、快感神経を直接触られたかのような衝撃に、神童が目を見開いて啼く。


「やっ!…やっ!アァッ、だめッ…そこも、だめええっ!」

霧野は神童が嫌だと首を振っても、一度見つけた一番の悦いところから指を離すことは無かった。
こりこりと擦るようにそこだけを執拗に弄ってくる。


「アアッ!そこ、へん…っ、へんっ!
ヤアァ…ッ、ヤァー…ッ、アッ!アッ!アアーッ」

急な刺激に神童の指が霧野の背中に食い込む。
でも神童はそんな自分に気づかない。
何かに掴まっていないと、自分が過ぎた快感に弾け飛んでしまいそうだった。


「アァー…ッ、アアッ、…こわっ、こわいよォッ!
きちゃっ、なんかキちゃうよォー…ッ!」

「ハァ…ッ、拓人、可愛すぎッ」

耳元で堪え切れないといった感じで呟かれた霧野の声にすら、今の神童は昂ぶってしまう。


「きりのおぉー…ッ!きりのぉー…ッ!
アアァーーッ!!」

もう駄目ッ!!

そう、神童が思った瞬間だった。
あれほど自分を高みへと押し上げていた霧野の指が急にずるりと遠のいてしまう。


「…あ」

急な喪失感に神童は思わず声を漏らす。
躯はあと一歩のところにある頂上を目指して戦慄いているのに。
じくじくと疼く躯に息さえちゃんと出来ない。

「…霧野?」

なんで?と神童は強請るように瞳を開ける。


でも、そこに居たのは後ろから男に羽交い絞めにされた霧野だった。


「ッ!!」

神童が息を飲んだ瞬間、後ろから神童から霧野を遮るように男が覗き込んでくる。


「よおタクト君。
綺麗なあんちゃんに触ってもらって気持ちよかったかい?
今度はオジサンと気持ちよくなろうな」



 

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