difference in age 年上の人4



乱れた息に、噎せるような青臭い匂い。
そして何より、俯いた俺の目の前にある白く濁った体液に濡れた剣城君の手。

あ、ああ…ッ!俺はなんて事をしてしまったんだ……。
こんなの……、剣城君に呆れられちゃいますよぉ……ッ!


抱きしめられただけで呆気なく箍が外れちゃうなんて、俺はなんて駄目駄目なんでしょうか!?
欲望の赴くままに剣城君に、う、馬乗りとか……!
そのくせその先の行為についてはノープランで、ただ自分の破廉恥な部分を剣城くんのお腹にハシタナク押し付けて腰振っちゃうとか……!

馬鹿だ!最低最悪の大馬鹿ですよっ、俺は!
剣城くんがああやって落ち着いて誘導してくれなかったら、きっと猿みたいに一人で剣城くんのお腹に擦り付けて服を汚してしまったはず。
恥ずかし〜〜〜、どんだけ一人上手なんですか、俺は!!


それに引き換え……。
剣城くんは本当に格好良かったぁ…!
俺がどれだけ暴走しても怒らないし、しかもやんわりと軌道修正してくれたし、そ、それに…。
さっきのほんの少しだけ息が乱れてる剣城くんも格好良すぎですよぉ……!
あ、あれって俺だけじゃなく剣城くんも興奮してたって事ですよね?
本人もそう言ってたし、俺の勘違いじゃないですよね?
あ、聞き間違いって可能性もあるかも。
「俺もイキそうです」じゃなくて「俺も一期生です」とか。
あ、もしかしたら剣城くんはシード一期生で研究生が沢山いる中で実力も人気もあって、本当は神メンバーとかにも選ばれちゃうようなスゴイ人なのかもしれないです。
だってあんなに格好いいし。
うわ、これ有り得ますよ!
やっぱり俺の聞き間違いですよ!どうしよう俺、また勘違いして暴走して挙句に剣城くんの手を汚しちゃったって事ですよね!?
俺は改めて気づいた大失敗に、剣城くんが気分を害していないか確認しようと思わず顔を上げてしまった。


「ッ!!」

でもそこには俺が出した精液を舐め取る剣城くんが居た。
な、な、な…、なんで舐めるんですかぁ!?
しかもなんで手首から手の平、そして指に向かって綺麗に舐め取ってるんですかぁ?
い、い、い…、イヤラシ過ぎますよぉ…ッ!!
というか破廉恥ですよぉぉぉぉ!!
ほ、本当に中学1年生ですか?去年までランドセル背負ってたなんて信じられませんよぉ!!
ハッ!今、凄い事実に気づいてしまいました。
俺は…、俺は…、そんな剣城くん相手に一人上手だった訳ですね!?


「速水さん……?」

訝しげな声の剣城くん。
眉を寄せたその顔はやっぱり俺よりも年下には見えないけれど、それでも剣城くんが中学一年生って事実は変わらない訳で。


「すみませんでしたぁ……ッ!俺、本当に……ッ」

こんな謝って済む問題じゃないのかもしれない。
でもだからと言って謝らなくていいって事にはならないと思う。


「次はちゃんと…、ちゃんと俺がリードしますからぁ……!」

そうですよ、次までにはちゃんとどんな事するのか調べて、年上の俺がリード出来るようにしておかなければ。
自分だけが興奮するなんて以ての外ですよ。


「リード…、ですか……?」

でも俺が謝っても剣城くんの眉間の皺は寄ったまま。
やっぱり謝っただけで許して貰おうなんて都合が良すぎたんですよ。


「あのっ、ですね?
次は指も汚さないようにしますし、剣城くんの事を噛んだりもしません!
それにそれに上に乗ったりもしませんし、もっとちゃんとします!」

俺は思いつく限りの「今日してしまった失敗」を並べた。
もうこれ全部しません。
俺が思いつかないだけで、他にも剣城くんが嫌だった事があるならそれももう二度としません。
だから……。


「だから…、だからですね?
俺と……、また、シてくれますかぁ……?」

「・・・」

決死の覚悟で口にしたお願いは、無言でかわされてしまったみたいです。
う、どうしよう…、泣きそうですよぉ……!


「速水さん」

俯く俺に剣城くんが声を掛ける。
う、こういう時、剣城くんの声は感情が分かりにくくて困ります。
俺は思いっきり怒ってたらどうしようかと思いながら、ドキドキして顔を上げる。
帰れ!とかは流石に言わないですよね…?多分……。


「俺、言いましたよね?
速水さんのしたい事全部していいって」

剣城くんがゆっくりと言葉を切りながら俺の頬に触れる。


「だから速水さんしたい事は全部していいんです。
ただ……」

「ただ?」

「俺のしたい事もしていいですか?」

剣城くんのしたい事……。
俺は情けないけどそれが何か思い当たらず、恐る恐るこくんと頷いた。
すると剣城くんの顔がほんの少しだけ斜めになった。
わわ、俺、貧血でも起こしたんでしょうか!?
でもすぐに剣城くんがほんの少しだけ唇を開いて、それが何か気づけた。


キス


剣城くんのしたい事って、……キス、なんですね。
改めて知った最大の事実に、俺はもう、居た堪れなくなってしまった。


「わあああ!すみませんッ!!
俺ってやつは…ッ、キスもまだだったのに襲ったりなんかして……ッ!
もう…、もう…ッ!
もう変な事しませんからあああ!」


その日、俺は結局、雨の降りしきる中、泣きながら家まで逃げ帰った。
しかも風邪を引いて、お見舞いにきてくれた剣城くんとファーストキスして風邪を移すとか、本当、最低ですよぉぉぉ!


 

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