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俺は自宅のリビングに居たはずなのに気づいたら桃源郷に迷いこんでいたらしい。
どこからともなく甘く脳をびりびりと痺れさす芳しい匂いがする。
それに見たこともない可憐な華がなだらかな肌色の台地に二輪も咲き誇っている。
極めつけに黒目の大きな妖精が俺の事を潤んだ瞳で見つめている。

あ、スミマセン!妖精じゃなくて天使でした。
あーーー、こんなありふれた空間を天国に変えてしまうなんて速水さんマジ天使ぃぃぃぃ!!


「あ……、あんまり見つめないで下さいよぉ…!
は、恥ずかしいです……」

ああーー、あまりに凝視しすぎたせいか、速水さんがたくし上げていた服を下ろし始めてしまったーーー!!
痛恨の失敗ッ!!
兄さんッ、このままじゃあっという間に乳首祭りが終わってしまうよッ!!
こんな短い祭りだなんて聞いてないよぉぉぉ!!
俺は慌ててその手を押さえた。


「隠して…、しまうんですか?」

俺の中の英国紳士よッ!!今すぐ光臨せよッ!!
乳首祭り開催の危機だッ!!
繰り返すッ!!英国紳士よ、今すぐ速水さんを安心させる為に光臨するのだッ!!
俺は必死で英国紳士になりきって、乳首を今まさに隠さんとする速水さんの手を押さえた。
勿論、ここで言う英国紳士とは尊敬すべきサッカーイギリス代表変態紳士エドガー選手の事だ。
あの下心を巧妙に隠した紳士ぶりを俺は正確に再現し、速水さんに真摯に問いかけた。


「だってこんな貧相な身体、恥ずかしいですよぉ……ッ」

速水さんがふるふるとそのビッグツインテールを揺らして顔を横に振る。
ココだッ!
ここが好機と判断したその瞬間、俺の中の英国紳士エドガーがピキーンッと光臨した。


「可愛いです」

揺れていたビッグツインテールが俺の言葉でピタッと止まる。


「速水さんの身体は、どこもかしこも、可愛いです。
勿論、このおっぱいも」

「お、お、お…、おっぱいってぇー……」

カーッと元々赤かった速水さんの顔に更に朱がさす。
速水さんは余程「おっぱい」の言葉が恥ずかしかったのか、胸を隠していた手をその真っ赤に染まった顔を隠す為に移動させた。
おおっ、がら空きのおっぱいが隙だらけで俺を呼んでいる。
右「うふふ、こっちへいらっしゃいよー!」
左「いえいえ、こっちの方がいいわよ。こっちにいらっしゃいよー!!」
ああ、右の乳首も左の乳首もなんて可愛く俺を誘うんだ。
どちらも可愛いすぎてどちらから触ったらいいか決められない。
このままでは俺をめぐって速水右乳首と速水左乳首が喧嘩を始めてしまう。

・・・という事で俺は一気に両方のおっぱいを堪能することにした。


「……んッ」

俺が速水さんの胴を掴むように支えながら親指で両乳首をぐりっと押し上げた瞬間、速水さんの口から思わず漏れてしまったような小さな声がした。


兄さん、知っていましたか?
乳首は本当は恐怖のデスドロップ誘導スイッチだと。
俺は知らずに軽い気持ちで禁断のスイッチに触れてしまいました。
速水さんのおっぱいは、速水さんの言うところの「なんかぽちゃぽちゃしている」ところの最たる部位だったらしく触るとふにふにしていました。
いいですか、「ふにふに」ですよ?「ふにふに」
ぶにぶにでもふにゃふにゃでもありません。
走るのが好きな速水さんは下半身は筋肉が付きやすくても上半身はそうでもないのかもしれません。
速水さんは奇跡のふにふにおっぱいの持ち主でした。
なんでですか?
痩せてるのに胸だけなんでふにふにしてるんですか!?
どうして乳首はそんな至高の触り心地のおっぱいの頂点に君臨しているんですか!?
しかも触れただけなのに「……んッ」なんて魅惑の声が再生されるんですか!?
そんなの俺は聞いてない!!
どうして誰も事前に教えてくれないんだ!!

そうしたらこんな暴発寸前にはならなかったはずなのにッ!!


俺は折角の速水さんの乳首だというのに、十分に堪能する暇もなく次のステップを急いだ。
ぐずぐずしていたら本当に暴発してしまうッ!!
急がなければッ!!


 

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