半田☆公開実験



「うー、やっぱ気になる!!
ゴメン、半田!髪触らせて!!」

「えー!?」

急に何かと思えば、一之瀬がいきなり俺の髪を弄くりだした。

「うー、これすっごい気になる〜。これ何?生き物?半田双葉っていう生き物?
ここから光合成とか出来たりする?
それとも電波とか受信するヤツ?」

そんな訳ないだろ…。
俺を思いっきりげんなりさせた発言をしたくせに、思いの外一之瀬は真剣に俺の髪を弄ってる。

「ねえ、これ髪整えたら半田元気無くなったりする?」

「そんな事ある訳ないだろ」

「よーし、じゃあどうなるか実験していい?」

「ゴカッテニー」

ごく普通の俺には一之瀬の思考回路は理解出来ない。
というかしたくもない。
もう一之瀬の気の済むようにすればいいっていう悟りの局地に至っていた。


「じゃあ半田こっちむいて」

「ん」

しばらく髪を弄ってた一之瀬が、最後は前髪と俺に声を掛ける。
短い返事をして、俺はくるりと後ろを振り返り一之瀬と向かい合う。
椅子に座ってる俺の前髪は立っている一之瀬からは見えにくいかな?と思ったから心持ち顔を上げた。
ついでに目を瞑って。


「……」

それなのに一之瀬は一向に俺の前髪に触ってこない。
アレ…?もう気が済んだのかな?
俺が怪訝に思って目を開けると、一之瀬はブラシを持って身悶えていた。
え?え?何?意味わかんないんですけど?


「半田!」

暫く身悶えていた一之瀬が、ガシッと俺の肩を掴む。

「半田の髪を整えたらどうなるか、実験結果が出たよ!!」

「え?マジで!?」

というか本気で実験してたのか。
しかも何かしらの結果が出る程、俺の髪は整えると何か起こるんだ、知らなかった。
実はすごかったんだな!俺の髪って。


「うん!俺が半田にキスしたくなる!!」

え?…エッ!?ええーーーーーっ!?
ちょこっと本気でびっくりしたのに、結果ってそれ!?
ちょっ、しかもこの肩を掴まれた体勢でその実験結果って、俺、ヤバくない!?
案の定一之瀬ってば顔傾けてキスの体勢になっちゃってて、うわ、うわっ!だんだんと近づいてくるっ!!


「わああああ、ストップ、ストップううううう!!止まれってぇ……ムグ」


…その実験結果が永遠に封印されたのは言うまでも無い。


 

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