円堂
「おーい、お待たせー!!」
爽やかに並んで走ってくる半田と円堂(ジャージ姿)に、マックスは「げ!」と顔を顰める。
「なあ、今日まだ予定決まってないんだろ?」
合流した途端、挨拶もそこそこに円堂が訊ねてくる。
マックスはもう嫌な予感しかしない。
「「じゃあ、サッカーやろうぜ!!」」
円堂とマックスの声が揃う。
「出オチ!?
ねえこれってただの出オチじゃん!
円堂とのダブルデート…それはサッカーやろうぜ!
もう〆に入っていいよ。どこまでも予想通りだよ」
そうウンザリとしているマックスに半田も円堂も不思議そうに顔を見合わせる。
「なんでだよ、いいじゃん別にサッカーしたって。
だって俺も円堂もサッカーで出会って、サッカーでお互い好きになったんだからさ。
やっぱりサッカーしてる時の円堂が一番輝いてるよ」
「サンキュー半田!!
俺も半田とサッカーするの凄く楽しいぜ!
だから…」
「「サッカーやろうぜ!」」
また円堂とマックスの声が揃う。
「だーかーらー、それはもういいって!」
心底嫌そうにマックスが顔を歪めて舌を出す。
「大体半田が円堂と一緒だと、半田の天然が加速すんだよね。
普段は少しボケてる時もあるよねぐらいなのが、円堂と一緒だと天然の域に進化するから手に負えなくなってくんだよ。
それでなくても円堂はボクの手には余るってのにさー」
訥々と文句を連ねても、半田と円堂には通じない。
不思議そうな顔で二人して首を捻っている。
「何の話だ?」
「さあ?」
なんて堂々と話し合ってる。
「あー、もう!
これでサッカーなんか本当にした日には、何故かぞくぞくと部活の連中が偶然通りかかるに決まってんだから!」
イライラと怒鳴りだしたマックスの言葉に、むしろ円堂が顔を輝かす。
「お!いいなそれ!
じゃあ河川敷でサッカーするか。
あそこなら皆通りそうだし」
「だーっ!そういう問題じゃないってー!!」
マックスの叫びは呆気なくスルーされてしまう。
「じゃあ早く行こう!!
あっ、お前達の分のドリンクも持ってきてるから安心しろよ」
半田がマックスの背を叩きながら言う。
なんとなくマックスの言うとおり円堂さんに感化されて天然が加速している。
そして結局嫌がるマックスも拉致して河川敷に向かう。
そこには案の定既にぽつぽつと部員の姿が…。
円堂とのダブルデート…それは普段と変わらない部活風景。
マックスの〆どおり「サッカーやろうぜ!」
円堂END
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