プロローグ



「ねえねえ半田ー。
半田ってさ、最近彼氏出来たデショ?」

ぶふぉおおっ!!


今は金曜の昼休み。
半田、マックス、影野は人の疎らな屋上で仲良く弁当を広げていた。

そんな中、突然のマックスによる問題発言に半田は飲んでいたコーヒー牛乳を盛大に噴き出す。


「なっ、なっ、なぁっ!?」

口の端からだらだらとコーヒー牛乳を溢しながら、半田が目を剥く。
ちなみに半田が噴き出したコーヒー牛乳による被害は主に半田のパン(開封済み)のみだ。
マックスは被害を蒙る前に当然のように避けている。

「うんうん、なんで分かったか訊きたいんデショ?
そんなの見てれば全てお見通しだ!!」

ばーんと半田に指を突きつけるマックス。
その理由になってないマックスの言い草に、未だ口を拭う事もせずに半田があうあうと口を開く。

「なんっ、なんっ、なんでぇっ!?」

「もー、折角ボクの名推理が決まったのに。
まあ、ボクは親切だからちゃんと説明してあげよう。
半田最近なーんかピンクオーラ出てるし、
でもその割にはボク達に恋話全然しないし。
好きな子が出来たとか、彼女が出来たって事なら、
恋愛トーク大好きな半田が話さない訳ないしね。
よってそこから導き出される答えはぁー…、
ズバリ!ボク達にも言えない彼氏、もしくは好きな男が出来た!!」

どーんと再度半田に指が突きつけられる。

「・・・」

口篭ってしまう半田に、マックスはニヤニヤと笑いながら下から見上げてくる。

「残念ながら被告人に黙秘権は認められませーん。
で?本当のところはどうなんですか半田さん!
噂は本当なんですか!?」

持っていたペットボトルをマイクに見立てて、半田の口元に持っていく。

「・・・」

助けを求めるように半田は影野をチラリと見る。

…駄目だ。

半田は幸せそうに筍の煮しめを頬張る影野の姿にがっくりと項垂れる。
孤立無援の状態を察知した半田は小さく溜息を吐く。

…まあ、いつかはバレてただろうし。

無理矢理自分を納得させて、渋々口を開く。


「…本当です」

半田はマックスに死ぬ程からかわれるのを覚悟して答えたというのに、
マックスから返ってきたのは予想外の反応。

「じゃあ今度ボク達とダブルデートしよー」

男と付き合ってると告白したのに、あっさりとした反応。
むしろ返ってきた答えに半田の方がビックリしてしまう。

「えっ!お前、付き合ってるヤツいんの!?」

「いるよー。ね?仁」

「えー、影野は知ってたのかよ!?
ずりぃ、俺にも教えてくれたっていいじゃん!」

半田が詰め寄っても、マックスはただニヤニヤしてるまま。
業を煮やした半田は影野の方を振り向く。

「なー、影野。お前、知ってるなら教えてくれよ。
マックスが誰と付き合ってるのか」

「えっ!…あの…その、ね…」

急に話を振られた影野は、箸を咥えながら少しずつ小さくなっていく。
耳を真っ赤にしてちらちらとマックスを伺う様子に、半田は眉を顰める。

「…?」

「半田ってば、まーだ分かんないんだ。
…こーゆー事」

そう言うと真っ赤な顔で箸を咥えている影野の後ろから負ぶさるように腕を回す。


「ね、『ボク達』とダブルデートしよーよ。
半田の彼氏も見たいし。
ま、大体誰かは想像つくけどね」


 

prev next




「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -