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「なんで俺だけ人外なんだ!?」
そもそも反対派なのに思わずつっこんでしまう。

「なんでって、それしか無いから?」
マックスが首を傾げながら言う。

…それ、可愛くないぞ。

腹黒い笑顔を浮かべたマックスに心の中でツッコむ。

「だからって、二人が首脳会談で、なんで俺がスターウォーズなんだよ!?
納得いかない!」
俺が再度そう言うと、マックスは仕方無さそうに説明しだす。

「だって、仁は財前総理に声が似てるでしょ。
ね、仁?」

「…イェッス!」

・・・それ総理じゃなくて理事長の真似だろ。

「で、半田英語駄目じゃん。
咄嗟にアメリカンジョークとか言えないじゃん。
だからケント大統領は無理でしょ?」

「…イェッス!」

・・・だからそれもアメリカンジョークじゃなくて理事長の口癖だから。

「で、残ったのがこれ」
そう言ってもう一度指差されるヨーダのマスク。

「あ〜、もうっ、他になんか無いのかよ!?」
俺は思わず叫ぶ。
もうやること前提になってるけど、
そもそもマックスには逆らえないんだから、少しでもマシな条件でやりたい。


「え〜、他の?
仕方ないなあ。じゃあ、これね」
そう言って次に袋から出てきたのは、忍者ハットリ君のお面だった…。

「二十世紀少年かよっ」
俺はそのお面を投げ捨てる。
そもそもマスクじゃないじゃん。
お面じゃん。
これじゃ、「帽子じゃありません、マスクです」って言い訳が使えないじゃないか。


「え〜、これも嫌なの?
半田我が侭だなぁ」
マックスの言葉がムカつく。
どっちが我が侭だっつーの。

「じゃ、これしか無いよ」
そう言って差し出される青の絵の具。

「???」

「ボクの芸術的センスでアバターメイクしてあげる」

「・・・・」

「半田、マックスって絵も上手いんだよ」
財前総理が嬉しそうに報告してくる。
そんなの何のフォローにもならない。

「・・・もういい。ヨーダで」
俺は渋々ヨーダのマスクを手に取る。

「お前さあー…この前も思ったけど、こんなグッズどこで買ってんの?
よくこんなのいっぱい持ってるよな」
俺はヨーダのマスクを眺めながら、ある意味感心しながら訊ねる。

「これ?
買ったんじゃないYO。
ゲーセンで取ったんデ〜ス」
マックスがケイン大統領のマスクを被って答える。

「半田、マックスってUFOキャッチャーも上手いんだよ」
財前総理が嬉しそうに報告する。

「…影野、マスク気に入ったんだ」
一度もマスクを取らない影野に訊ねる。

「…うん。なんか自分じゃないみたいで楽しい」
財前総理が恥ずかしそうに答える。

ソウデスカ・・・。

俺はその答えになんだか影野の将来が不安になってくる。
目立てるって言葉に弱いし、はっきり嫌って言えないし、なんだかんだで結構キッツイことも平気でやってしまう。
もし影野が女だったら、言葉巧みにAV女優とかになりそうで怖い。
少なくてもこのままでは、マックス主導で体を張ったお笑い芸人になりそうな気がする…。

「影野、ちゃんと嫌なことは断るんだぞ」

「・・・?
今度皆でゲーセン行こうね」
俺の心からの忠告はあまり影野に響かなかったらしい。
どこ吹く風って感じで首をかしげてそんなことを言ってくる。

「でも今は、作戦を決行するのが先だから」
そんな長閑な俺達に向かってケイン大統領が宣言する。

うん、俺も嫌なことはちゃんと断らないとね。


結局いつものとおり俺達はマックスには逆らえない・・・。


このあと、『日米三馬鹿トリオ見参!?帽子じゃないよ、マスクだよ大作戦』は決行された。
菅田先生がまた怒ったのは言うまでも無い…。
でも、前回に比べて、やや諦めモードで半笑いだったのは確かだ。
既に怒っても無駄だってインプットされたみたいで何だかそれも嫌だった。


 

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