あの言葉を耳にした途端、俺の頭は機能が著しく低下した。
なんでいつの間にか、ジャージの前が肌蹴たのかなんて覚えていない。
なんの為に部室のテーブルの上の荷物が全部床にぶちまけられたのかなんて分からない。
俺はなんでチームメイトの首に手なんか回しているのか自分のことなのに理解できない。
今の俺に分かるのは、たった一つ。
――俺が首に手を回しているヤツはもうすぐ俺の前からいなくなるってことだけ。
「半田、俺、アメリカに戻る。
円堂達と戦う為に、俺はアメリカのチームに入る。
…俺の最後のサッカーになるかも知れないから」
そう言って表情を無くした一之瀬の言葉が俺の頭の中をぐるぐる廻っていた。
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