17*
「じゃあ、もう一度いくよ」
「う、うん」
また元の挿入る体勢になったけど、一度入れられる痛みを知ってしまった俺は、
入り口に宛がわれただけでもう恐怖で全身ガチガチになってしまう。
「半田、力抜いて」
ちゅっと俺の緊張を解すように一之瀬が繋いだ手に口付けてくれるけど、
変に力の入った俺の全身は簡単には解れてくれない。
ぐぐっと圧迫されると、身構えてしまい、逆に全身に力が入ってしまう。
こんなんじゃ、入るものも入らない。
何回試しても、俺の体は勝手に堅くなってしまう。
俺の心は一之瀬を受け入れたいって思っているのに、
体は痛みを恐れて一之瀬の侵入を拒む。
それと反対に、少しずつ一之瀬の欲望の証は硬さを失っていく。
俺が怖がってるせいだって思うと、焦りと申し訳なさでいっぱいになってくる。
でも、俺の焦りとは逆に一之瀬のモノが硬さを失ってくると余計、中に入り辛くなってしまう。
二人とも汗だくで、ぬるぬると全身がすべるのに、
肝心の俺のソコは全然滑りけが無いなんて皮肉だった。
「やっぱり止めよう」
一之瀬のモノがへんにゃりと、手を添えないと上を向かなくなった時、
ついに一之瀬がそう呟いた。
「こういう事は無理にやる事じゃない。
もうこれ以上半田に無理はさせられないよ」
それが一之瀬の紛れも無い本音だって、すぐ分かった。
俺が申し訳ないって思ってる様に、
一之瀬も俺が無理してるって思ってるから、申し訳なくって萎えちゃったんだ。
それが分かるから、余計俺は止めたくなんてなかった。
「嫌だ!
俺、無理なんかしてない!
だから最後までシよ?
絶対何か良い方法があるから!」
二人ともシたいって思ってるのに、出来ないなんておかしい。
二人の想いが同じなんだから絶対出来る。
このまま出来ないまま離れるなんて絶対嫌だ。
俺は必死で無い知恵を絞る。
一之瀬が萎えちゃったのは、また刺激を与えてやればどうにかなる。
俺達が出来ないのは、俺が中に挿入れられそうになると身構えちゃうからだ。
でも、それは無意識で俺にはどうにも出来ない。
だったら俺が身構えちゃっても、一之瀬が挿入られる状態にすればいい。
さっき指は簡単に入ったんだ。
指と一之瀬との違いは?
太さ。…は変えるのは無理だから、他に何か、何か無い?
「一之瀬!」
下を向いて悩んでいた俺が急に大きな声を出したから一之瀬は驚いたように目を見張る。
「何かぬるぬるしたもの探して!」
「…ああ!」
一之瀬は俺のそれだけの言葉で全部分かったみたいで、
裸のまま自分のロッカーを漁り出す。
二人して間抜けな格好のままで部室中を探した結果、見つけたのが円堂とマネージャー達の冬の必需品ハンドクリーム。
手を酷使するGKと洗濯物をするマネージャーの為に、部室の救急箱の中に入っている物だった。
俺はそのハンドクリームを握り締め、一之瀬を見つめる。
「これがあれば多分出来るはず。
だからさ、約束してよ。
…もう止めるっと絶対言わないって」
「半田…」
「俺がどんだけ痛がっても、絶対止めたりしないで。
俺、我慢とかあんまり出来ないから痛かったら絶対顔に出ちゃうと思うけど、
一之瀬はそれでも見なかったふりして続きシて。
絶対だぞ、分かったか?」
「・・・」
俺がこんだけ言ってるのに、一之瀬は未だに迷ってる顔をしている。
俺は苛立ってしまってついに、声を荒げてしまう。
「もうっ、お前、俺のこと気遣ってんだったら、それ見当違いだぞ!
俺はお前の初めての相手になりたいんだ!
お前が俺のこと忘れたくても忘れられないように、
お前の初めてを俺が奪ってやるんだからな!」
俺はビシっと一之瀬の顔に指を突きつける。
そうすると一之瀬は少し驚いた顔をした後、また切ないって顔になってしまう。
ああ、俺、この顔嫌いなのに。
この顔を見ると胸がきゅうって小さくなったみたいに締め付けられて苦しくなる。
こんな顔より、一之瀬の爽やかな笑顔が見たい。
俺しか知らない、我慢できないって感じのエッチな顔がみたい。
俺はすぐさまクリームの蓋を開けて、たっぷりと手に取る。
「一之瀬、早く大きくして?
俺、早く硬いの欲しぃ」
俺が女の子に言われたら反応するだろうって言葉をわざと言いながら、
一之瀬のもう完全にノーマル状態の其処に手を延ばす。
・・・嘘でも「太くて大きいの欲しぃ」って言えないところが俺らしい。
そんなわざとらしさ満点の俺の誘惑に、一之瀬は小さく溜息をつく。
でも、すぐ俺を見つめた瞳は、もう迷ってはいなかった。
同じようにクリームを手に取り、俺をテーブルの上に座るように促す。
「半田も、早くぐちゃぐちゃにして?
俺も、半田が俺に突かれてあんあん喘いじゃうとこ早く見たいな」
そう言って俺の秘穴に触れる一之瀬は、腹黒っぽい爽やかな笑顔を浮かべていた。
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