半田くんのしっぽ



こんにちわ、音無春奈です!
実は私、見ちゃったんです!
半田先輩の腰にしっぽが生えつつあるのを。


やけに忍者みたいな歩き方してるなぁって思って遠くから見てたら、案の定慣れない歩き方に半田先輩ってば木に服の裾を引っ掛けちゃったんです。
背中だから自分一人だと中々取れなくて四苦八苦してるのに誰にも助けを呼ばないんです。
これは何かある!ってジャーナリストの勘が騒ぎましたね。
それで私は急いで半田先輩の元に走ったんです。
半田先輩は私が助けに行くと明らかに困った顔をしました。
これ、オカシイですよね?
助けにきたのに困るなんて。
勘は確信に変わりました。
絶対何か隠してる!
でも私は何食わぬ顔で木から服を取ってあげました。
背中を庇ってるのはバレバレでしたからね。
そこを見るには助けてあげるのが自然でしたから。
それで見ちゃったんです。
半田先輩にも不動さんや染岡さんみたいな瘤が腰に小さく出来ているのを!
半田先輩もばって凄い速さで隠したから間違いありません!
あれは絶対「しっぽ」です!!


これは是非調査しないと!!
誰が「しっぽ」のお相手なのか!?
染岡さんと二人でおっぱい同盟を結んでいた半田先輩をオトした勇者は誰なのか!?
あー、ジャーナリストの血が騒ぎます!!
こんな特ダネ、見過ごすわけにはいきません。
音無春奈、出動です!!



という訳で、容疑者を一人ずつ呼び出して話を聞く事にしました。
それとなく如何に悟られずに聞き出すかが腕の見せどころです。
まずはサッカー部で半田先輩と一番仲の良い染岡さん。

染岡さんには吹雪さんっていう公認の恋人がいますけど、
遠距離恋愛中の人が寂しさに負けて近くに居る人についふらふら〜っと浮気したってよく聞く話ですよね?
十分アヤシイです!
(以下、対話抜粋)


音無(以下音)「染岡さん!」

染岡(以下染)「あー?なんか用か?」

音「チビ染君って普段はどうしてるんですか?」
 (子供の話の反応で夫婦仲を探っちゃいます!)


染「あー、親にバレないように部屋に隠してる。
 タンスん中に押し込めてっから窮屈そうなんだよな。
 ま、次の休みにゃ吹雪んとこに預けにいくからもう少しの我慢だかんな」


音「そうなんですか!?」ピクッ
 (向こうから話を振ってくるなんて、まさかの円満偽装!?)


染「おー、アイツが早く会わせろってうっせぇんだ。
 毎日電話がウゼェから仕方なくな」


音(あれ、なんか照れてる?これは、どうなんだろ、普通に上手くいってるって事なのかしら?
 うー、染岡さんはツンデレだから分かりづらい!)
 「へー、毎日ラブコールですか。ラブラブなんですね!」


染「はぁっ!?んな訳ねーだろ!
 アイツから掛かってくるから仕方なくだし!
 いいか、俺からは絶対電話なんかしてねーぞ!!」


音(ぷっ、染岡さん髪の毛と顔が同じ色だ。
 う〜ん、これは円満偽装って訳じゃなさそうかも…。
 でも、ついふらふら〜っと浮気したって事も無い話じゃないですよね?
 よ〜し、今度はずばっと半田先輩の話題を出して探っちゃいます!)
 「じゃあ、染岡さんが自分から電話する相手とかって誰ですか?
 やっぱり一番は吹雪さん?それとも部で仲のいい半田先輩とか?」


染「だからー!吹雪になんざ電話しねぇって言ってんだろっ!?」


音(うー、聞きたいのはそんな事じゃないのにぃ。
 でも染岡さん更に赤くなって浅黒い顔がなんだか凄い顔色になっちゃって怖いかも)
 「じゃあ、半田先輩が一番電話する相手って事ですか?」


染「は?なんで半田が出てくんだ?」


音(くっ、きょとんとした顔して、全然私の話聞いてなかったのかしら?
 先輩じゃなかったら鉄拳制裁なのにぃ!)
 「だって染岡さんは半田先輩と一番仲いいじゃないですか。
 お二人とも巨乳好きですし」


染「おいっ!女がそんな話すんなっ!!」


音(くっ、この頭ガチガチの時代遅れ男め。
 話進まないからスルーしろや!)
 「すみません、この前半田先輩がおっしゃってたのが印象的だったんで、つい。
 染岡さんと半田先輩って仲いいですよね」


染「あー、そうか?普通だろ、普通」


音(チッ、やっと本題に入れた。
 全く空気が読めない男はこれだから困るのよ)
 「えー、仲いいですよ!いつも一緒ですし、お互いの好みのタイプも知ってるじゃないですか」


染「は?半田の好みのタイプなんて知んねーぞ」


音(むむ、これは『半田の好みのタイプ=俺』を隠してるんでしょうか!?
 これは追及せねば!)
 「えー、お互いおっぱい大きい女性がお好きなんでしょ?」


染(顔真っ赤で春奈の背中バッチーン)
 「だっから言うなって言ってんだろーが!」


音(うう、痛い…。)
 「じゃ、じゃあ染岡さんの好みのタイプってどんなのですか?
 言ってくれないとおっぱいで決定しますからね」


染「うっ!……大人しめだけど、明るい健気な子、かな?
 色白とか…結構好き、だ」
 (ほっぺを掻きながら照れつつも律儀に話しだす)


音「ああ!吹雪さんみたいなのがタイプなんですね!!」


染(再び顔真っ赤で春奈の背中バッチーン)
 「誰も、んな事言ってねーだろ!?」


音(うう、痛いよぉ…。
 もういいや。これ以上は痛くて続けらんない)
 「そ、そうですか…。
 清楚な感じが好きって事でいいです。
 ありがとうございました…」




よろよろしながら去っていく春奈。
その背中を見ながら染岡はぽつりと呟く。


「何が聞きたかったんだ、アイツ…?
でも、そう言えば最近半田のヤツ巨乳もののエロ本持ってこねえな。
アイツも好みが変わったんかな?」



 

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