染岡さんのしっぽ



「染岡クン!!」

「どわっ」

染岡のわき腹をえぐる様に突如吹雪が抱きついてくる。
そんな光景もイナズマジャパンではもうお馴染みの光景だ。
染岡がどれだけ呻き声をあげようとも、周りの人物でさして注意を払う者もいない。


「ったく、なんだ急に!」

そしてそれとワンセットで響く染岡の怒号。
本当は嬉しいくせに、と周囲の目敏い者は密かに見抜いている。


「染岡くん!これはもう、するしかないね!!」

だが、吹雪はそんな染岡の態度など眼中に無く、目をキラッキラ輝かせている。
いつも以上に周囲が見えていない。


「一緒に頑張ろう!子作り!!」

染岡だけを見つめ、高らかにそう宣言すると染岡の手をぎゅっと握った。




それは今日新たに発覚した事実が発端だった。
鬼道が夕食のあと染岡と風丸を自室に呼び出し、傍らの佐久間、基山と共に従来の仮説を覆す新しい仮説を説明しだした。


鬼道の言葉によると、

一つ、ちび不動の父親は帝国の源田であるらしいこと。
一つ、不動と源田がイタシたのはエイリア石が消滅した後であるらしいこと。

よって、以上の二点からエイリア石の影響で体質が変化した可能性があるらしい。
今後男性と性交渉をし、更に肛門内射精されると不動みたいにしっぽが生え、ちびキャラが生まれるかもしれないと鬼道は二人に告げた。
エイリア石なぞ過去のもので、自分には最早関係ないと思っていたのに、これからも未来永劫自分に関与してくるかもしれないのだ。
鬼道の言葉に、染岡と風丸は顔を見合わせる。
二人はほぼ同じようなことを考えていた。


――あの時なんで自分の弱さに負けてしまったんだと。


それと同時にこうも考えていた。


――男に中出しされるなんて万が一にもあり得ないから平気だろうと。


敏感に二人の気持ちを感じ取った鬼道が
「まあ、一応覚えておいてくれ」
と、綺麗に締めた瞬間にこの話は終わるはずだった。
日本の他のエイリア石関係者にも連絡し、不動の話がひとしきり話題になるぐらいで終わるだろうなと二人も漠然と思っていた。


そう、吹雪が変なことを言い出すまでは。




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