エピローグ



イナズマジャパンがFFIで優勝して凱旋帰国する日、源田は空港まで愛しい恋人を迎えに来ていた。


意地っ張りでちっとも素直じゃない彼の恋人は、日本を発つ前日にやっと少しだけ素直になってくれたのだ。
それなのに肌を重ねたせいか、逢えないせいかわからないが、途端にメールしても電話してもいつも素っ気無い態度しか取ってくれなくなった。
その素っ気無い態度は元来の不動の態度であるのだが、小悪魔的デレや作為的な甘えとは違う、素直な態度の不動はそれを忘れさせるくらいのインパクトがあったらしい。
ただ単に源田が初めての恋人に浮かれているだけかもしれない。
まあ、そういう訳でなんら心配するような事では無いのだが、盲目的に一途な愛を貫いてる源田にとってはいてもたってもいられなくて何度直接会いに行こうかと悩んだことであろうか。


でも、その度に源田は思いとどまった。
遊びに行ってるわけではないのだからと。
国を背負い戦っているのだからと。
根っからの真面目人間である源田はそう自分を律して我慢した。
苦労が絶え無そうである。


だから今日彼は久しぶりの恋人との逢瀬にだいぶ浮かれていた。
次々遭うイナズマジャパンのメンバーとニコニコとどこかふわふわと浮かれ気分で挨拶を交わす。
皆が自分のことを『パパ』と呼んでいるような気がするが、愛しい恋人の姿を探すのに夢中で普段だったら気になることも大して気にならない。


漸く見つけた恋人に大きな声で声をかける。


「不動!」


その声にキョロキョロと辺りを見渡す不動。
鼓動が早まる。
こっちだ、こっち。
心の中でこっちに向けと懸命に祈る。
願いが通じたのか、すぐ目が合う。
すると信じられないことに、アノ不動が走って自分に抱きついてきたではないか。
うわー、うわーと源田の頭の中は真っ白になってしまう。
だが、自分の心配は杞憂だったと暫く見ない間に随分素直になってしまった恋人を感動して抱きとめる。
抱き止めた途端、胸の辺りに何か入っているような違和感を感じる。


「不動?」

何が入っているのかと、いつもと全然態度の違う恋人の顔を窺う。
すると不動は見慣れた表情でニヤリと笑うとジャパンのジャージのファスナーを少し開ける。
ひょこっと胸元から顔を出したのは不動そっくりの小さな見たことない生き物だった。


「???」

びっくりして不動を見る。
そこには今まで見たことないような綺麗な笑顔を浮かべた不動がいた。


「責任、取れよな。パパ」


   終わり

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