共依存 | ナノ

(注)実際には行っていませんが、ジョルノがカニバリズム発言をしています。苦手な方はご注意を。

‐‐‐‐‐‐‐‐

「僕たちはギャングですよね」
「そう、だけど…いきなりどうしたの?」
「ふと思ったんです。僕たちの仕事はどんな時でも死と隣り合わせだと。今だって、敵対する組織に狙われているかもしれない。僕たち二人とも何時死んでもおかしくはない。命の保証なんて何処にも無いのだと…」
「そう、だね…。でも、私も初流乃君もその覚悟があったからギャングになったんでしょう?」
「ええ、確かにそうですが、やはり姉さんにだけは死んで貰いたく無い」

そう言って私にぎゅうぎゅう抱き着いてくる初流乃君は年相応に見えて。普段の弱さを見せない大人っぽい振る舞いからは想像もつかない程に不安定で、そして今にも消えてしまいそうな程にか細かった。それは他の誰にも見せない、片割れの私にだからこそ見せてくれる初流乃君の姿だった。

「…もし、もしもの話ですが、」

初流乃君が細い声で言葉を紡ぐ。

「姉さんが僕より先に死んでしまったとしたら…、姉さんを食べて良いですか」
「…え、」

時が、止まった気がした。
以前ポルナレフさんに、私達の父は時を止めるスタンド能力を持っていたと聞いたことがある。まるで、そのスタンド能力を使ったんじゃないかというくらい、私達の間の時間という概念が時を刻むのを止めた、そんな錯覚に陥った。少なくとも私にはそう感じられたのだ。
それ程までに初流乃君が吐き出した言葉は強烈過ぎた。私には一生掛かったとしても、一文字たりとも理解出来そうにない言葉だった。

「い、今の冗談だよ、ね…?」
「いいえ、僕は本気ですよ。死んでしまったらこうして一緒に居られませんよね?だから、姉さんを食べることで何時でも一緒に居られるようにしたいんです。僕は身も心も姉さんと一つになりたいと常々思ってきました。それって、いけないことでしょうか?」

いけないも何も、"ヒト"としてそれは許される話では無いだろう。人が人を食べるなんて、正気の沙汰とは思えない。それが例え自分の片割れであったとしても、例外ではないのだ。

――怖い。
目の前の血の繋がった弟がただただ怖かった。

「…ねえ、ナマエ。貴女はどんな味がするんでしょうか。きっと、この世のものとは思えない程甘美な味がするんでしょうね…?」
「は、初流乃君、もうやめて…」
「僕は貴女を骨まで食したい。愛する人を自分の中に取り入れたいというのは、人間の正常な欲求ですよ…。少なくとも僕はそう思って生きてきました」

スルスルと頬を撫でられ、堪えきれなくなった涙が溢れてくる。
初流乃君は少し目を見張ったものの、特に表情を変えることなく「おや、」と短く呟いた。

「…初流乃君…?」
「少しおふざけが過ぎたみたいですね、すみません。今のは冗談ですよ、全て、ね。僕が姉さんを食べる訳無いじゃあないですか」
「ほ、ほんと…嘘じゃない?」
「ええ、ですから泣き止んでください。僕は姉さんの笑った顔の方が好きです」

頬を伝う涙を舌で掬われ、「ナマエは涙ですら美味しいんですね」と洒落にならない一言が聞こえてきて、背筋に悪寒が走った。この余計な一言のせいで先程の「冗談です」という言葉は一気に信憑性が薄くなった。
私、今すぐに逃げた方が良いのかもしれない。




性的に、ではなく物理的に夢主を食べちゃいたいジョルノ。冗談です、とか言ってますが恐らく本気です。//131026
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