TEXT | ナノ
承太郎が吐き出した煙がぷかぷかと宙に浮いては消えて行く。その様子をボーっと眺めてから、私は口を開いた。

「…承太郎、聞いて欲しい」
「何だ?」
「わたし、ポルナレフに告白されたの」
「…は?」

驚いているような、ほうけているような、そんな表情を承太郎は顔に張り付けている。私自身も何故口をついてその言葉が出てきたのかが分からないくらいなのだから、その反応も至極当然だと思うけれど。

ポルナレフが改まった様子で私の泊まっている部屋へ訪れたのは、つい昨日のことだ。扉を開いたわたしの前に、何時になく真剣な表情の彼が立っていた。
「ナマエ、俺はお前の事が好きになっちまったみたいだ」第一声は確かそれだった。すぐにはその言葉の意味が分からず、呆気に取られているわたしを気にも留めずにポルナレフは次々と愛の言葉を並べていく。何がきっかけで好きになったとか、私の何処が好きだとか、その他色々。
呆けていた私がポルナレフの言葉の数々を理解した時にはもう遅く、彼が全てを吐き出した後であった。お互いに顔を真っ赤にして、黙りこんでしまったのを覚えている。こんなことは初めてで、どうしたら良いのかが分からない。何か言うべきだろうかと思案を巡らせていると、ポルナレフが最初に沈黙を破ってくれた。俯いてモジモジしている私に「返事はDIOを倒した後にでも答えてくれ」と場を和ませる為に笑い、そして手の甲へキスをひとつ落として足早にその場を去っていった。
それが昨日の出来事である。ああ、思い出しただけでも顔から火が出そうだ。

「…という訳なの。どうすれば良いと思う?」

承太郎に事情の全てを話し終えて意見を求めると、彼は困ったような何とも言えない顔をした。

「…俺に聞くな。てめえで考えな」
「それが自分のことなのによく分かんないのよ…。ほんとどうすれば良いんだろ…」
「…ポルナレフは、返事は後でも良いって言ってくれたんだろ。なら、もう少し先でも良いんじゃあねえのか。焦って答えを出す必要はねえと思うぜ。答えはアイツのことをもうちょっと知ってからでも遅くないだろ」
「…うん、そうだね。わたしも、もっともっとポルナレフのこと知りたいもの。ポルナレフの好きなものも嫌いなものも、全て知りたい」

有難う承太郎。無愛想で、でもとびきり優しい友人にお礼を言うと、ぶっきらぼうに「俺は何もしてねえぜ」と返ってきた。

「わたし、承太郎のそういう所が好きだよ」
「好きって言う相手が違うだろ」

承太郎が吐き出した煙は宙に浮いてはまた消えた。



>>>atogaki
承太郎って良き相談相手になりそうだなって思いまして。的確にアドバイスしてくれそうですよね。その後ポルポルくんと夢主は結ばれたのかどうかはご想像にお任せします。~131228
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