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※DIOがやたら女々しくてキャラ壊れが酷いのでご注意を。


我が主、DIO様は大の女嫌いだ。…否、正確には女が怖いと言った方が正しいかもしれない。
昔々のその昔、ある女性に無理矢理キスをして泥水で口を濯がれてから怖くなってしまったらしい。よく訳の分からない理由だし、自業自得ではあるのだが、主にとってはトラウマだったらしく。それのお陰で生活に支障を来すレベルなので、此方としてもとても困っている。何せ人の顔を見ただけで蕁麻疹が出るほどなのだから。マライアなんてDIO様に目の前でゲロられたと言っていた。それ故に彼が集めた人材は男ばかりなのだ。
…さて、本日はDIO様にご報告せねばならないことがあるのだが、彼の目の前に私が立てばどうなることやら。



「DIO様、ご報告が…何してるんです」
「前触れもなくお前が来るからだろう!!」

報告の為に訪れた主の部屋。そこにはベッドに座り、ふかふかのクッションで顔を隠したDIO様の姿が。ついに頭がイかれたか。

「それで隠れているつもりですか?」
「そんな訳あるか。ナマエが見えないように顔を隠しているのだ」
「へえ〜」

じゃあ目を瞑れば良いだけだろ、ということは野暮だし言わないでおこう。

「それで?報告というのは?」
「ああ、そうでした。ジョースター一行が香港へ到着しました」
「そうか…」
「では、報告はそれだけなので。私はこれで」

あまり長居をしてDIO様の体調を損ねてはいけない。そう考えた優しい私はDIO様に背を向けた。…のに、「待て、行くな」DIO様に引き留められてしまった。
一体何の用があるというのか。何かして欲しいなら無理して女の私に頼むより、男であるテレンスにでも頼んだ方がよっぽど良いと思うのだが。

「まだ何か?」
「いや、そういう訳でもないんだが…」

随分と歯切れの悪いDIO様の返答。
ますます意味が分からない。そこまでして私に何をしろと言うのか。

「その…」
「用がないならもう行きますよ」
「…そ、傍に居てくれ…ないか…」
「は?」

驚いてDIO様の方を見たら、またもやクッションで顔を隠されてしまった。シャイな女子か。

「傍に居てって…DIO様、女性が怖、」
「嫌いなだけだ」
「(どっちでも良いわそんなもん)…嫌いなのにどうして?」
「分からん。ただ、ナマエは特別だ」

特別?それはどういった意味でだろうか。私が生物学上は女なのに女らしくない、という意味での特別だろうか。確かにマライアやミドラーと比べて女としての魅力は劣るが…。だが、DIO様は確かに私を怖がっているのだし、女としては及第点だと思うのだけど…。
考えてみても謎は深まるばかりだ。私ではとても解明できそうにない。

「私はDIO様の嫌いな女ですよ?」
「分かっている。だが何故だかお前には傍にいて欲しいと、そう思ったのだ」
「はあ、」

傍に居てくれと言うからにはもう少し近づいた方が良いのだろうか。そう思い至ってDIO様が座っているベッドに近付いたら……

「ヒッ」

短い悲鳴を上げられてしまった。しかもよく見ると恐怖からか震えている。この様子では女性は噛む生き物です、と嘘を教えても信じそうな勢いだ。

「DIO様、やはり私は居ない方が良いのでは…」
「い…いや、大丈夫だから、もっと此方へ来い」

クッションを取り払い、私をしっかりと見据えるDIO様。その瞳は涙で濡れていた。恐怖で泣いてんじゃねえか!!

「本当に大丈夫ですか?吐きません?」
「くどいぞ!大丈夫だと言っているだろう」
「そうですかあ?ならもっと近くまで行きますからね」
「…ああ」

ちょっと腰が引けているDIO様へ一歩一歩と距離を縮めていく。私が一歩進む毎に悲鳴をあげそうになっているのか、必死で口を抑えるDIO様の可哀想なお姿を見ているともう同情しか感じない。

「う…そこで止まれ」

ついに大粒の涙を溢し泣き出してしまったDIO様。そんなに私が怖いのなら無理をしなければ良いのに…。

「ナマエに傍に居て欲しいというのは間違いなくこのDIOの本心だ。…だが、体がどうしても受け付けない。本当はナマエに触れられるものなら触れてみたい…その柔肌に思う存分触れてみたいのだ…」
「なら、DIO様が触れられない分、私から触れに行きましょうか?」
「…え。」

一気に距離を詰め、DIO様の腕に触れれば、彼は泡を吹いて気絶してしまった。
やれやれ、この様子では女に慣れるのはまだまだ先になりそうだ。

(14/05/24)
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