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※タイトルの通り女体化ネタです。苦手な方はご注意を。


「ナマエ!起きて!!」
「…あと5時間…」
「それはいくらなんでも寝過ぎだよ!」

ゆさゆさと体を揺すられ、ふざけんなブッ飛ばすぞと思いながら目を覚ますと、目の前には綺麗なお姉さん。…は?いや?え?とイマイチ状況が飲み込めていない私にお姉さんは半泣きで抱き着いてきなすった。豊満なお胸が顔に押し付けられて息苦しい。

「ねえ、ナマエ!僕はどうすればいいんだろう!?」
「…!!?」

まさかの僕っ子だと!!
…じゃなかった。『どうすればいい』は此方の台詞だ。見知らぬお姉さんに泣きつかれた私の方がどうすれば良いか分からない。お姉さんは私のことを知っている風だが、私は全く存じ上げていない。こんな絶世の美女なら例えすれ違っただけでも覚えているだろうし、ほんの少しでも記憶に引っ掛からないということは本当に見たこともない女性なのだろう。となると、ここは本人に聞くのが一番手っ取り早い。

「あの、大変失礼とは存じますがどちら様ですか…」
「えっ!まさか、僕を忘れたの…?」

忘れたも何も元から知らないんですがそれは。

――いや、待てよ。思い当たる節というか、一つの仮定ではあるが――もしや、このお姉さんは雌牛が人間になった姿ではなかろうか。昔話の鶴の恩返しのように、人間の姿に化けて私に恩返しをしに来てくれたのでは無かろうか。問題は雌牛を助けた覚えが無い点だが、それを除けば合点がいく(多分覚えが無いだけで昔ほし草をたんまりあげたとかそういう事をしたのかもしれない)。
つまり、このお姉さんは何処かの牧場の雌牛さんだ!!

「雌牛さん、わざわざ恩返しに来てくださったんですね。牛乳一年分ですか?」
「なに雌牛って!!?僕だよ!ジョナサン・ジョースター!!」
「ああ、わざわざジョナサンに似せて来てくれたんですね。そういえば何処か似てるなあ。あ、牛乳なら冷蔵庫に。入らない分は牧場へ直接取りに行きますので、牧場の住所言えます?」
「僕の家は此所で、僕がジョナサン・ジョースター本人!!」

「よく見て!」顔をがしりと捕まれ、綺麗なお顔と鉢合わせさせられる。よく見てって言われたってなあ…う〜ん、確かにジョナサンには似ている、と思う。似ているんだけども、ジョナサン・ジョースターという男は生物学的にも見た目にも男であって、目の前に居るような美女ではない。よって、どれだけ真摯な目で見詰められたって信じるまでには至らないのだ。何か決め手があれば話は別だが。

「…やっぱり貴方がジョナサンだとは信じられない。信じて欲しかったら何か証拠を出して。例えば、ジョナサンしか知らないような秘密とか」
「##name_1#はお尻を叩かれると喜…」
「あああジョナサン!!どうしてそんな事になってしまったの!私最初からジョナサンだって信じてたよ!!」
「そう?それは良かった」

危ねえ…やばい性癖暴露されるところだった…。
間違いない、この紳士の皮を被った鬼はジョナサン・ジョースターご本人だ。

「ジョナサンなのは分かったとして。肝心のどうして性別が変わったのかはまだ分からないんだけど、どうしてなの?」
「それが僕にもさっぱりでね。朝起きたら何故かこうなっていたんだ」
「ええ……」

そんな非現実的な。だがしかし実際に起こっているのは確かだし、乗り掛かった船なのだから彼が元に戻るまでとことん付き合うしかないようだ。

それにしても見れば見るほど素晴らしいプロポーションだ。ボンキュッボンを体現したその体躯は、起き抜けの脳には些か刺激的過ぎではあるが。
やはり真っ先に目がいくのは逞しい胸板があった筈の胸部だ。筋肉に変わって脂肪が詰まっており、窮屈そうに服を押し上げている。先程顔に押し付けられたことにより身をもって体感したが、本物の女である私が自信を失いそうになった程だ(むしろ既に失ったと言っても過言ではない)。推定G〜Iカップぐらいだろうか。何はともあれ千切りたい。

「こんな体になって最悪だよ……。胸がこんなに重いものだとは思わなかったし、それに足元も見えなくて危なっかしいよ」
「……鉈持ってくるね」
「鉈で何する気!!?」

言わせんな…てめぇの胸を狩り取るんだよ…。

「…ねえ、ジョナサン。それ、私への当て付け?Bカップしかない私への当て付け?」
「そんなつもりじゃあないよ!ナマエが気にしているとは知らなくて…」
「クソ肉団子が…」
「クソ肉団子!!?…僕はナマエの胸の大きさが好きなんだけどなあ…手に収まる感じが可愛くて」
「はいはい、勝者の余裕ですね分かります」
「そういうつもりじゃあ…」

フン、どうせ私は可愛いお胸ですよ。元・男に負けるなんて少し屈辱的。
でも、少しだけ羨ましい。うん、少しだけ。ほんの少し。

「私も一晩でそれくらい成長したらなあ…」
「僕ので良ければあげたいくらいだよ」
「鉈持ってくる?」
「やめて」

視界に入れないようにしようとしても、どうしても写り込んでくる。如何せん存在感が有りすぎるのだ。

「…ナマエ、そんなに気になる?さっきから凄いチラチラ見てるけど」
「はっ!?いや、そんな訳ないでしょ!?ただの脂肪の塊だし!」
「良ければ触ってみる?」
「エッ」
「それとも…僕のじゃ嫌?」
「あ、や、そうじゃあない、けど…ジョナサンは良いの…?」
「ナマエなら、良いよ」

ごくり、生唾を飲み込む。
正直、触りたい気持ちは大いにある。が、それをしてしまうと負けてしまったみたいで(何にかは分からないが)。
でも、このチャンスをみすみす逃がしてしまうともう触れないかもしれない。これだけの大物を持ってる人って早々居ないし、居たとしても触らせて貰えないかもしれない。だからこれがチャンスなんだろうけど…。
でもやっぱり女の私が男であるジョナサンに敗北を喫する訳にはいかない。それだけは駄目だ。―でも触ってみたい。―いや女の恥だ。―柔らかそう。―いやいや駄目だって。―ああ、ぷにぷにしたい。―駄目駄目、ここで自分に負ける訳には―――



「やわらかい…」

負けました。

「凄いね、ジョナサン!」
「そうかな?」
「マシュマロみたい!いいなあいいなあ!!」
「満足した?」
「うん!したした!」
「じゃあ、今度は僕を満足させてくれる?」

……あ?何だそのクッサイ台詞は。
気づけば、視界にはジョナサンと天井。やられた…!と察した時にはもう遅い。私はジョナサンに押し倒されていた。

「え…?なん…?え?」
「ナマエのせいでそういう気分になっちゃって……相手してくれるだろう?」
「いやでもさっきまで最悪って仰ってましたよね…その体でするんですか……」
「そんな事ばかり言っていても仕方無いからね。それに、下は付いたままだから安心して」
「!!?」

これが半べそをかいて私に抱き着いてきた男だなんて嘘でしょ…。今目の前に居るこの男(正確には女だけど)は完璧に男の顔をしている。補食しようとする雄の顔だ。獲物は他でもない私。逃げ出す算段を立てるにはあまりにも遅すぎた。

(14/09/30)
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