▼ 13/08/09 (08:08)

「球磨川さん…」
『んー?高貴ちゃんー。どうしたのー?』
「俺、アンタのわがままに振り回されるくらいどうってことないですよ…。アンタが笑顔でいられるならそれで満足です…」
『うんうん。そっか。いい子だねえ、高貴ちゃんは。僕もきみが満足なら嬉しいよ。』
「おいおい、球磨川くん。何をきみはほざいているのかな?」
『あ、安心院さん?』
「はーい、みんなの安心院さんの御登場だぜ。ところで、球磨川くん。君は本気で、きみが大好きで大好きで仕方ない阿久根くんはそう言うと思っているのかな?それは本当に、きみが大好きで大好きで仕方ない阿久根くんなのかな?
「女子のわがままに振り回されるのが好きっ!」「あの子が笑顔ならそれで満足♪」とか 、そんな奴はライトノベルの中にしかいねーんだぜ」
『えー安心院さん、勘違いしないでくれるかな?此処だって随分いい加減で荒削りで無躾で語彙力乏しくてキャラ崩壊著しくて物語構成の低い自己満甚だしい低レベルな場所だけど、ノベライズの中には変わりないんだぜ?差別するなよ。』
「おいおい、球磨川くん。そりゃあ此処は随分いい加減で荒削りで無躾で語彙力乏しくてキャラ崩壊著しくて物語構成の低い自己満甚だしい低レベルな場所で、知能の薄さ丸見えの馬鹿が馬鹿を晒け出すような原作にも原作好きにも気分害する最低な場所だけどね。ここ、はそもそもそんなライトだなんて明るみにある場所じゃないだろう?もっと暗く一目に付かずひっそり陰湿に闇の中で生まれるべきノベライズだ。君くんも知っているはずだよ。ねぇ…球磨川くん?」
『安心院さん………?何を言って……
う、うわああああああああああああああああっ!!
高貴ちゃん!?な、なんで!?顔が腐ってる!!!どうして…さっぱりわからない…!高貴ちゃん、高貴ちゃん!腐って、顔がただれてしまっている!!一体なにが起こったんだ!?高貴ちゃん!僕の高貴ちゃん………っ!!!』
「あーあ!球磨川くん。フォローするわけじゃないけど君は悪くない。君のせいじゃないさ。君は混沌の暗闇に生きてきたわけだけれど、行方不明の君を阿久根くんが追ってここまで堕ちてきたらこうなった。ただそれだけさ。阿久根くんは一向に見つからない君を、箱庭学園の頃からろくに返事すらしない君をただ月日を経て腐るまで待っていただけ。ただ、ずっと混沌の暗闇で待ってた阿久根くんは腐女子に喰われて腐ってしまった。ただそれだけさ。彼女も阿久根くんが寂しがらないように、といった親切心や愛情でやったことだ。いやはや。愛とか思いやりとか気遣いとか優しさとか感謝とかお礼とか心づくしとかも数が集まればただの残酷な暴力になる。その典型的例がこんな陰険なノベライズで拝めるとは。この場合、数というより月日と言った方が適切かな。あー愉快愉快。
おっと失礼、球磨川くん。大好きな阿久根くんがこんな姿になったというのに笑って悪かったよ。一応僕にも好意を示してくれた阿久根くんのことだ、傷心ではあるんだよ。でも君はもっと傷心かな?なんせ箱庭学園を卒業してみんなと一切音信不通行方不明になって以来、めだかちゃんが月を復活させて、もがなちゃんの子供が水泳選手になって、希望ヶ丘が機械の寿命で壊れて、フラスコ計画が遂に完成してしまって、太刀洗ちゃんが起き上がる日が来て、随分長い年月が流れたというのに、やっぱり完成された大嘘憑きでは死ぬに死ねない身体なのか知らないけど、未だに君は生きている。ゴキブリ並のしぶとさじゃないのかい?まぁ、君が神妙にようやく決心ついたんだ、みたいな顔で、少し未練があるみたい、と言うから此処まで連れて来てやったわけだけど。残念だったね。阿久根くんは醗酵した後だったよ。
慰めるわけじゃないけど、君は悪くない。まったく君は悪くないから元気を出しな。……って球磨川くん?」
『………ふ。あははははは!嬉しいなあ。僕は嬉しいよ。顔が腐ってただれようと、僕の高貴ちゃんへの思いは少しも変わらない。腐った皮膚も残った肉も同じに見える。僕の愛は本物だったんだ!
高貴ちゃーん…ごめんね…ずっとほっといててごめんね…僕は君がずっと好きで君も僕がずっと好きだったのに…向き合わなくてごめんね…何度も何回も何遍も遠回りしちゃったけれど今度こそ今度こそ、今度こそ僕等ずっと一緒いようね…………』
「ふぅ。やれやれ。まったく世話の焼ける弟だ。球磨川くんも『大嘘憑き』を使って阿久根くんの顔のただれぐらい治せばいいものを。腐ったまんまの、阿久根くんが君を想い続けた月日が一目で見てわかる、愛の結晶と呼べる腐った顔のまんまがいいのかい。君もほんとに阿久根くんが好きだねぇ…」




その場所は天国か、はたまた地獄か。





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