▼ 隠された大陸 (4/11)
同じ場所で、同じ様に、しかし少しだけ冒険の跡をその身に遺した船は、以前のように、いきなりルーメに警戒されることも無く、ロラン達を迎えてくれた。
ラディ達とも再開を喜び、早速本題に入る。
「まだこんな地図が遺ってたんだな……」
ロランから手渡された地図をまじまじと見つめながら、ラディが呟いた。
ティール達も同じ様に地図を覗き込み、険しい顔を見せる。
比較の為、隣に置かれた現代の地図とは明らかに違い、一つ大きな大陸が描かれていた。
「この大陸に、エルフの里があるんだね。……にわかには信じ難いけど」
「そうよね、こんなに大きいのに、私達が見つけないはずも無いもの」
「それ、なんだよな……」
フィリアの言葉にロランは軽く唸る。
ティール達は先の船旅で、近辺の海は回り尽くしたはずだ。
当然、地図には無いこの大陸も見付けているはず。
なのに、彼らは知らない。
この矛盾は一体何を示しているのだろうか。
「エルフは魔法の一族よ。それに、私達と交流を絶ってから既に100年以上が経ってる」
レイラは古い地図に描かれた、今は無き大陸を指先でなぞる。
「私達が知りようもないことを、彼らがやっていても不思議じゃないわ。それこそ一つの大陸を私達の目から隠すくらい」
「……そう、だな。行ってみなくちゃ解らないよな」
隠された大陸の発見、なんてまさしく冒険者らしいではないか。
見回せば、皆一様に好奇心を表情に現している。
「……出発するよ!碇をあげて!」
ティールの掛け声に一同はいそいそと準備を始める。
窓から見える果てしない海原を見つめ、ロランはメニリナから受け取ったチャームを握り締めた。
prev / next