▼ 隠された大陸 (1/11)
突然空に現れた奇怪な裂け目。
うろたえる村人達の対処は村長に任せ、ロラン達はサディラへの帰路を急いだ。
冒険者ギルドにはたくさんの情報が集まる。
何か、掴めるかもしれない。
それにこういう時に一番頼れるのは、ギルドマスターエリィの存在だった。
「エリィさんっ!!」
案の定、ギルド内はガヤガヤとパニックになった街人達が押し寄せていた。
ディゲイズやモニータ、ギルドの面々が必死に対処している様子があちらこちらで見られる。
ギルドのマスターで、酒場のオーナーでもあるエリィは、その中央でたくさんの人に囲まれ、質問攻めにされていた。
どうみても、自分達に構ってくれそうな余裕は無い。
「……街の皆さん、不安なんですね」
「……当たり前さ。いきなりあんな物が現れたら、誰だって怖いよ」
どうなっているんだ、魔王の再来か、口々に聞こえてくる街人達の声に、ティアとルースが顔を歪める。
不安なのは、みんな同じだった。
「……ちょっとあんたたち!こっち!こっち来な!」
ふと、聞き慣れた声を捉らえ、ロラン達はきょろきょろと辺りを見回す。
2階へと続く階段の踊り場で、肌を大きく露出した服装のエルフの女性が手招いていた。
彼女がギルドの先輩冒険者、メニリナであると解ったロラン達は、無理矢理人込みを掻き分け彼女の元へ歩み寄る。
「えっと、メニリナさん……?」
「ここじゃあ騒がしくて話も出来ないねえ……3階に上がるよ、いいかい?」
言うや否や返答も聞かず階段を上がりだしたメニリナに、ロラン達はついていく他なかった。
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