Novel
カータリアへの忍び足

コロ「くっきー」

くー「?」

コロ「明日はクリスマスだよー準備してる?」

 其れはいつもの通り、くーが園長さんちへ遊びに行った時の事だった。

 いつもより子供達が帰るのが遅いなと思っていた時だ。

 クリスマスはガゼットとシュトランから聞いて知っているけど、準備?

レオン「サンタさんには貰うだけだけど、仲良しさんにはプレゼントを交換する習慣があるんだよ」

モカ「僕はお兄ちゃんだから弟にあげるだけだけどねー」

コロ「園長さんはレープクーヘンを沢山焼くんだよ」

くー「コロとレオンはモカに何を貰うの?」

レオン「それは内緒」

コロ「開けてみてのお楽しみってやつだよ」

くー「ふぅん?」

モカ「これは僕らからプレゼント。今、僕が持つから家に帰ったら開けてね」

コロ&レオン「バイバイ、またねー」

くー「バイバイ」

モカ「いつもの道は雪があるから、こっちにしよう」

 家へ着くと、モカは帰った。

モカ「メリークリスマス!」

くー「めりめり」

(あ、僕も何かあげなきゃ)

モカ「くーはいいんだ、いつも平野さんにはお米貰ってるから。ガゼシュトにはブレートヘンロールが届くから、食べれたら分けて貰うと良いよ」

 ワンワン!

平野さん「おや、お帰りくー。園長さんに何か貰ったね?」

 くーは玄関を開けてもらう。

平野さんの奥さん「出かけたのなら、先にお風呂よ」

 お風呂に入って、温かいミルクを飲んで一息。

平野さん「くーの部屋に置いておいたよ」

くー「ワン」 

 階段を上る。

くー「お米の匂いはしないなぁ?」  

 ゴソゴソ。

 開けると…。

くー「絵本だ」

 其れは園長さんが作ったくーが出てくる絵本でした。

くー「ガゼシュトもいる〜」 

 机に飾っておこう。

くー「ディーン君には何かあげたいなー」

 でも僕、自分でカータリアへは行けないや…

 モカに頼めば良かったな。

 そう思いながら、聖夜が来た。

 平野さんちでも片桐さんちでもクリスマスケーキを食べたし、
 勿論、くーやガゼシュトもチョコでない所を少し貰った。

 サンタさん、僕の代わりにディーン君にプレゼントしてくれないかな?

 深々と夜が更けていく。

 中々寝れずに寝返りを打つ、くー。


 其の頃。

 コロが寝るのを待って、レオンとモカはこっそり起きていた。

モカ「リボンは付けたか?」

レオン「うん。付け忘れも無いよ」

モカ「じゃ、行くか」

 なんとモカの爪が光る。

 手を繋ぐレオン。

 レオンとモカは大きな荷物持ち。

 中身は?

 一瞬の光と共に彼らは例の場所へ。


 チクタク。チクタク。

 時計塔の音を聞きながら、目指す場所に歩いていく。


モカ「此処がカータリアかー」

レオン「なんだか美味しそうな匂いがするよ」

 ヒクヒク。

 確かにモカの鼻にも反応している。

 (いやいや、我慢我慢)

モカ「せーの」

レオン「よいしょ」

 
 ジングルベールジングルベール、クリスマス〜。

 そーっと、そーっと。


 翌朝、白くなった庭に気づいて、何かがあると一番最初に発見したのはディーンだった。

ディーン「皆ー起きて、起きてー!くー君からのプレゼントだって」 

  ディーンだけではなく、全員の分がある。

  メティロスさんにはシャンパンと焼酎の差し入れ。

  ディーンには勿論、ふかふか布団。

  それぞれが欲しかった物だ。

 (でも、不思議だな。くー君は来れない筈だけど…?)

  彼らの内緒。今夜だけのサンタさん。


ディーン「あれ、これも僕にかな?」

  ディーンさんへ。

  実はくーから聞いて、こっそり入れておいたのは彼らからのプレゼント。

  安全第一のヘルメットに熊よけの鈴。

 「これで貴方も幽霊撃退!トンネルだってへっちゃらさ」とカードに書かれている。

ディーン「ほんとかな?」

 半信半疑だが、一応貰っておこう。

 それから、ディーンは幽霊が出そうな場所にはこれを持ち歩いたという。

 しかし、片桐さんに黙ってヘルメットを持ち出したと思われたガゼシュトが数日後、怒られたのは言うまでも無い。


ガゼット「誰が持って行ったんだ?」

シュトラン「きっとサンタさんだよ」

ガゼット「…」
 
                 おしまい。 


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