Novel
優しさと毒
「おーい。ルミナスどこにいるだ」
ルミナスは小枝を取りに行って、30分。いつもならこんなにも遅くはならない筈。
ルミナスはとても真面目で素早く取りに行くのに、今日はとても遅い。
「(何かあったらヤバイな)」
一応ホープ達も心配したのか、みんなで手分けして探している。
ドラゴンのルミナスなら心配ない…って思うが前みたいに盗賊団に監禁されたら、最悪だ。
いくらドラゴンと言えど、ルミナスは女だ。なので何かあってからだと遅い。
「(クッ…俺も迂闊だ)」
辺りは真っ暗だから、獣が出てもおかしくない。ネガティブに考えれば考える程頭が痛くなる。
「(早く見つけな―――アレ?)」
俺は目の前にいる人物に見覚えがある。確かアイツはフェーンだよな?
金髪に特徴のある耳。間違いなく、フェーンだ。
「フェーン!お前どうしてここにいるだ」
「ん…?あっグラスさん。久しぶりですね。貴方こそどうして?」
フェーンとは一度会った事があり、すぐに打ち解けられた。
最初はとても真面目なイメージだったがたまに毒を吐いたり、黒い部分が見える。
「ああ…俺は人探し、フェーンは散歩か?」
「いえ、違います。とても騒がしかったので逃げてきました。だからあんな煩いと獣も来るですよ…全く変な人達ですねぇ」
と敬語を使いつつ、毒を吐くのがフェーンスタイル。
別に俺はどうも思わんが、たまに怖いとひっそりながら思う。
「まぁそれだけではなく、ウィルさんを探しているですよ」
「ウィル?ああ…あの竜の小僧な」
「貴方も誰かを探しているのでは?」
フェーンは黒い事を言いながらも仲間を大切にする奴。
案外とても優しいのがフェーンの良い所だ。
「じゃあ一緒に探そ―――」
「その必要はありません。声が聞こえます」
静かに耳を澄ましたら、甲高い女の子声とまだ声変わりをしてない、男の子の声が聞こえる。
「ルミナスの声…!ルミナス!ルミナスー!」
「ウィルさん?早く帰らないとスイーツ全部食べますよー?」
やっぱりコイツ怖い。何を考えてるのか全く分からない…でも優しい時もある。
「では、ウィルさんを見つけたので帰りますね。また会いましょう…グラスさん」
「ああ…また会おうな。フェーン」
俺達は探している人物の為に別れた。だが、フェーンは隠している。声なんか聞こえなかった。あれはフェーンの魔法で見つけたに違いがない。
「フェーンは優しいな」
日が堕ちる今この瞬間、空を見上げたら流星が見えた。
それもフェーンの魔法なのか?って一人で思いながら、ルミナスを見つけたのであった。
end