死んだらどうなるの?という幼い私の疑問に周りの大人はみんな、お星様になるのよ。と答えていた。へー、そうなんだ!と純粋に信じていたのはいつまでだったかな。いつの間にか、そんな馬鹿げたメルヘンな話あるかよ。フンッ。と鼻で笑うような乾いた大人に育ってしまった。
「おいっ!寝んじゃねぇぞ」
「寝たら叩き起こしてやりまさァ」
しかしながら乾いたなりになかなか良い人生を送れたと思う。毎日毎日楽しく過ごせたと思う。きっと今にも泣きそうな顔をしながらいつも通りの言葉をかけてくれるこの人達のお陰だろう。
「何、笑ってんだ」
「…変態でさァ」
変態はお前等だろ。と言ってやりたいのは山々だけども口からはヒューヒューとした音しか出てこない。残念。出来る事ならこれからもずっと一緒に過ごしていきたいよ。アンタ達と。だってアンタ達と過ごす毎日は本当に楽しかったんだもん。同じ日なんて一日たりともありはしなかった。いつも楽しかった。でももうここで終わりだ。残念だけれど、自分の事は自分が一番良く分かる。
「へ、へへっ。私、星に、なり、ますから」
今だって死んだ人が星になるなんて鼻で笑ってしまう。そんなメルヘンお馬鹿。でも、いつだって空にあって傍に居る事が出来なくても見守っている事が出来る。そう考えれば、悪くはない。悲しくはない。怖くはない。
「しゃべるな、馬鹿」
「何言ってやがんでィ」
「おいっ…!」
ごめん。もう、聞こえないよ。一緒には居られないけどずっと見守ってますから。だから、泣かないで。
星になる
20091124
戻る