湧き上がる熱、熱、熱。苦痛だと、そう思っていたのに今ここにあるのは快感だけ。


「んぁっ、あっあっあぁっ」

「あっハァ、名前っ」


自身を突き立てて私に快感を与える景吾。額に汗を滲ませて私を見下ろす。その姿も低く唸る声も部屋に響く水音もそして……頭の中の雅治も全てが私を熱くする。


「いっや!んっあっあぁ」

「嫌じゃねぇだろ、ハッあっ」

「うっは、け……ご、あぁぁあん!」


奥を突かれたのと同時に、頭から爪先までビリビリと電気が走ったような感覚に襲われた。


「ふっ、あ、くっ…」


そして私の中で景吾がドクドクと脈打ったのを感じた。その時、耳元で景吾が「愛してる」と言ったような気がして高揚感と罪悪感が入り混じったこんな気持ちになったのは初めてだった。


「シャワー、浴びるか?」

「んっ、いい」

「そうか。じゃぁ俺はシャワーを浴びてくる」


情事の後しばらくした頃、こう会話を交わし景吾の背中を見送った。パタン、と扉が閉まる音を確認して深い溜め息をついた。
この気持ちは何?今日は何でいつもと違うの?頭から雅治の事が離れなかったのは何で?今まで流されるまま従う生き方しかしてこなかった私には分からない。体験した事も感じた事もなくて…雅治なら、教えてくれるんだろうか。
その時、静がな部屋に着信音が響いた。途切れる事なく流れているという事は電話だろう。鞄をガサガサと漁り携帯を取り出す。ディスプレイには、着信仁王雅治。
チクリと刺すような、それでいて心地良い胸の痛みを感じながら通話ボタンを押した。


「もしもし」

≪おぅ。俺じゃ≫

「ふふ。どうしたの?」


雅治の声に怒気は含まれていなくて少し安心した。電話をくれた事が、声を聞けた事が嬉しくてじんわり、温かい気持ちになった。




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