普段なら名前は家に居る時間。それでも俺が学校に来たのは学校で名前に何かがあったなら絶対にまだ学校に居ると思ったから。簡単に言えばただの勘。
確かに名前は学校に居たが既に無機質な音が流れる携帯を眺めて眉をひそめる。
俺は後ろから聞こえた音を聞き逃さなかった。聞き慣れたボールを打つ音。それに、焦った名前の声。名前は何をしていた?何処に居ると聞いても答えなかったが名前が居たのは間違いなくテニスコートの近くだ。
名前に直接聞く事はないが多少の情報は耳に入っている。でも部活をしてるなんて聞いた事はない。
その時ガチャリとドアが開いた。


「ハァ、お待たせ…しました」


走ってきたのか、肩で息をする名前にますます眉を寄せる。こんな名前は見た事がない。


「別に待ってねぇ。乗れ」


俺が行くって言ってやったのにそれを阻止した理由は何だ?イライラする。


「出せ。家に行け」

「あの…何で迎えなんて」

「悪いのか?アーン?」

「いえ…」


一刻も早く名前に会いたかったからなんて言わない。いや、言えない。言ったら名前は何て答える?


「…部活は?」

「任せてある」


休むつもりはなかったが気が変わった。隣で俯いて息を整える名前を見て黒い感情が渦巻く。名前は俺のもんだ。知りたい知りたい知りたい。名前の全てを。
それなのに直接聞く事が出来ない俺は酷く臆病だ。




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