「ん。登録完了したなり」

「うん」


電話帳には仁王雅治の文字。その文字を見てまた嬉しくなった。


「何かあったら連絡しんしゃい。あと暇でも連絡しんしゃい。あと…」

「あはっ!分かった」


どんな時に連絡するかなんて事を指を折りながら考えている雅治に思わず笑ってしまった。


「…言わんかったら名前から連絡来なそうじゃき。言っておかんと」

「する!するよ」


迎えの連絡とか景吾の呼び出しとか必要最低限にしかケータイを使わなかったから正直、何かあったらの何かとか暇な時にどんな内容のメールをすれば良いのか分からないけど雅治の気持ちがすごく嬉しいよ。


「やっぱり笑った方がええ」


そう言って雅治は私の頭を優しく撫でた。
少し恥ずかしかったけど昨日みたいな不思議な感覚に陥った。胸がドキドキして温かい気持ち。初めて感じた気持ち。
きっと私にとっては必要のない気持ちなんだろうな。道が決まってるんだから。
でも、せめて…せめて今だけ、学校で過ごす間ぐらい良いよね。私の道を私の意志で歩きたい。例え少しの時間だけでもたくさん知りたい。雅治と一緒に居たい。
だから、ほんの少しの間だけ私は今までの私にさよならをした。雅治と出会ったこの場所で。




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