学校に着いた時、まだ授業中で時間を潰す為に屋上に来ていた。いつもの場所で煙草をふかして空が青いなぁとか風が気持ち良いなぁとか今まで感じた事がないような事ばかり考えてた。すごく居心地が良くて時間になっても動く気になれなかった。
こんな風に感じるようになったのは雅治のお陰なんだろうなって思った時に雅治の声が聞こえたから本当に驚いた。


「それ止めんしゃい。体に良くないけ」


雅治は私の持ってる煙草を見て言った。


「あ…うん。つい…癖で」


私の些細な反抗だった。煙草もこの見た目も。少しでもお嬢様って肩書きから逃れたかったから。


「特に女の子には良くないからな」


でもそれももう必要ない。雅治が私をお嬢様じゃなくて苗字名前として見てくれてる気がするから。


「いつ来たんじゃ?」

「前の時間の途中」

「寝坊か?」


確かに寝坊だけどすぐに準備をしたら二時間目には間に合った。あの後、景吾がこのまま休むと言い出したからそれを何とか説得してその後に準備をしたらこの時間になった。


「ん…そんな感じ」

「そか」


すると雅治はうーんと何かを考え込んでうんうんと一人で納得して「番号教えんしゃい」と言った。


「…番号?」

「あとアドレスも。朝、モーニングコールしちゃる」

「モーニングコール?」

「ん。それに知っとったらいつでも連絡出来るけ。家に居っても寂しくないじゃろ?」


「もう一人じゃなか。俺が居る」


そんな雅治の言葉を思い出したら嬉しくて。


「ありがとう…雅治」


雅治とアドレス交換をした。




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