一体、何が起こったんだろう。
仁王雅治というたった一人の男によってほんの数時間で私は私で無くなった気がした。
言葉にした事で何か吹っ切れたのだろうか。
あの後、雅治と一緒に教室に戻った。もちろん授業は始まっていたけど先生は雅治には怒っていたのに私には「早く席に着け」と促すだけだった。
いつもは気にならないのに今日はやけに虚しかった。
「ねぇ、何でいきなり名前呼んだの？」
「距離が近くなるじゃろ？まずは第一歩なり。だからお前さんも俺を名前で呼びんしゃい」
教室に戻る途中、私は雅治に問いかけたけど、また訳分かんない事を言ってて私はつくづく思った。
雅治って、変な奴。
← →
戻る