仁王跡部連載

酷く腹が立った。私だけの時間を邪魔された事と仁王の言葉に。いきなり現れて、しかも今まで話した事なんてないのに何なんだこの男。こんなに腹が立ったのは久しぶりだった。らしくない。そう思った。
だから少し自分を落ち着かせようと煙草に火を点けた。煙を吸い込んで吐き出す。けれど気持ちは少しも落ち着かなかった。頭の中では仁王の言葉が反芻している。
お嬢様お嬢様お嬢様お嬢様。だから何だっていうの。そんなもん。

「…好きで、なったんじゃない」

思わず、呟いていた。

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