〜♪〜♪
電話が鳴った。着信画面に表示された名前を見て嫌な予感しかしない。


≪ヤッホー!元気ぃ〜?起きてたー?≫

「何ですか?起きてなかったら出てませんよ」

≪冷たーい≫

「……」

≪ちょ、ごめん。黙らないでくれるかな≫

「で、何ですか」

≪んー、君の声が聞きたくなっちゃって≫

「…そうですか。切りますね」

≪ちょっとー!岩ちゃん並に冷たいね!≫

「…私知ってますよ。また彼女に振られて、暇だからかけてきてるんですよね」

≪ぐっ、何故それを≫

「岩泉さんが言ってました」

≪岩ちゃんめ…≫

「彼女に振られる度に私に絡んでくるの止めてくれませんか」

≪えーいいじゃない。慰めてよ〜≫

「嫌です。めんどくさい」

≪ホンットひどいね!≫

「及川さんほどじゃないです」

≪でも何だかんだ言って出てくれるもんね≫

「次はないです」

≪ヒドっ!まぁでも次はないかな≫

「それは良かったです」

≪君が俺の彼女になってくれたらね≫

「…そういう事言うのも止めて下さい」

≪いつになったら俺の彼女になってくれる?≫

「嫌ですよ。私、及川さん嫌いです」

≪ふふっ。俺知ってるよ。君が俺をだーい好きな事≫

「うるさい」

≪怖っ≫

「私、都合のいい女なんかになりたくないです」

≪そんな事しないよ≫

「…だったら何で他の人と付き合ったりするんですか。現に彼女に振られる度にこうして連絡してくるくせに」

≪好きな子ほど苛めたくなっちゃうじゃない?≫

「知りませんよ」

≪ごめんね。好きだよ≫

「…私は嫌いです」

≪嘘。ねぇ、好きだよ≫

「……」

≪泣かないでよ。もうしないから。ね?≫

「…いやです」

≪もー強情だなぁ。どうしたら許してくれる?≫

「許すも何も、最初から、別に」

≪怒ってないの?≫

「……」

≪ねぇ、好きだよ。そろそろ俺と付き合ってよ≫

「…うそだ」

≪ホント。ずっと君以外見えてないんだ。だから毎回振られちゃう。責任取ってよ≫

「責任転嫁しないで下さい」

≪手厳しいなぁ。ねぇ≫

「……」

≪俺の事どう思ってる?≫

「……好きです」

≪俺も、好きだよ。ねぇ、今から会いに行ってもいい?≫

「何する気ですか。こんな時間に来るなんて」

≪えー!ただ会いたいだけだよー!今、何考えてたのー?≫

「…やっぱり嫌いです」

≪あはは。可愛いなぁ。やっぱり今から行くよ。抱き締めさせてね。今までの分も≫

「セクハラ」

≪彼氏にそんな事言うなんてヒドイ子だね!≫

「付き合うなんて言ってません」

≪ダメですー!君はもう俺のモノですー!≫

「…バカ」

≪バカでも何でもいいよ。後でいっぱい聞かせてよ≫

「…及川さん、大好き」

≪…知ってる≫





20160308

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