私は今、彼氏である弦一郎の家に遊びに来てる。



弦一郎はテニス部の副部長なんてやってるから二人っきりで過ごせる時間なんてほとんど無い。

開いている時間があったとしても自分に厳しい弦一郎は、毎日の日課である自分を鍛練することを止めたりしない。

だから今の時間は貴重だったりするのだ。



そんな私達だから、友達にたまに
「不満とか無いの?」なんて聞かれたりする。

実際、今だって弦一郎は私が読まないような難しい本を読んでて、私は隣でそれをぼんやり見てたりするだけなんだけど。




だけどね?

実は私だけしか知らない所があって。
それに病み付きになっちゃって、そしたら「不満」だなんて言ってられないの。




付き合い出した頃は不安だらけでどうしようも無い時もあった。

メールをしても、返って来るのは短文で「そうか。」とかそんな感じだったから。

だけど、その後で私は知っちゃったの。
その短いメールの真実みたいなもの。

それはある日柳君が笑いながら私に言ったことだった。
弦一郎って本当はメールなんかした事なくて、携帯は持ってるだけって人だったらしい。

だけど、そんな弦一郎は、私とメールをしたくて、柳君に顔を真赤にしながら使い方を聞いてたらしい。

そんな事聞いたら「不満」とか「不安」なんて一気にどっかに吹っ飛んじゃう自分って本当単純なイキモノだって思うんだけど。



でも、弦一郎があの真剣な顔で携帯とにらめっこして私に一言返すのに必死になってたかと思うと、一言だけの短文メールが愛しくなっちゃうじゃない?



ああ、また愛しくなって来た。


本を見つめる弦一郎がすっごい愛しい。

 


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