「名前、少しは落ち着いたか?」
「…ん」
「まったく…こうなることがわからなかったのか?」
「だ、だって…」

ことの発端はあるテレビ番組。
この季節には珍しい心霊特集だったため、興味本意で観てしまった。それから、幼馴染み兼恋人の弦一郎の家に転がりこんだのは言うまでもない。すでに眠ろうとしていた弦一郎を必死に説得し、やっとのことで一緒に眠ることを許してもらった。
そして冒頭に至る。

「これからは興味本意でそんなくだらないものを観るなよ」
「…ごめんなさい」
「まあいい。明日も早いのだろう?早く寝ろ」

そう言うと、くるりとわたしに背を向けて眠ってしまった。
できることなら弦一郎が言うようにわたしも早く寝たいのだがまだ先ほどの恐ろしい映像が頭に残り、眠ることができない。
なんとか恐さをまぎらわそうと弦一郎の身体に腕を回す。すると、腕にこめた力が強かったのか眠ったはずの弦一郎が「名前、少し苦しいぞ…」とこちらへ振り返った。

「ご、ごめん!」
「眠れないのか?」
「なんか、不安で…」


そんなわたしの言葉に「たるんどるぞ名前」といつものせりふに加え、困ったように顔をしかめる。
なんだか申し訳なくて、弦一郎に背を向けようとした、が、それより速くわたしはそのまま弦一郎に引き寄せられ、腰あたりに腕を回されていた。

「げ、弦一郎…?」
「こうしていれば問題ないだろう」
「え?」
「俺がついている。安心して眠れ」
「……なっ!」


あなたの愛で溺れる午前2時


あの弦一郎が自分から抱きしめてくれたことや、いつもはそうそう聞けない優しい言葉がとても嬉しかったけど、いろんな意味で眠れなくなってしまったのはまた別の話。

   


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