※ちょっと注意






私は何故このクソ暑い日に好き好んで扇風機しかない万事屋なんかに来てしまったのだろうか。暇だなー。そうだ!万事屋に行こう!と思い立った数十分前の自分を殴りたい。殴り倒したい。それにしても暑い。


「ねぇ、聞いていい?」

「おー」

「近くね?」

「気のせいじゃね?」

「気のせいじゃねーよ!」


ガバっと立ち上がると私に背中を預けていた銀時はごろりと仰向けになった。「ちょっと名前ちゃーん」とかいきなり立ち上がるんじゃねーよ的な感じで言ってるけども!うるさいよ!暑いのは気温が高いってのももちろんあるんだけど、コイツがぴったりとくっついていたからだ。近くね?って言うか近過ぎじゃボケェェェェェェ!気のせいじゃねーし!その距離ゼロセンチじゃないですか!
ソファーはテーブルを挟んで向かい合わせに二つあるっていうのに、何故一つのソファーに、それもぴったりくっついて二人が座らなきゃならんのですか!というか隣に来たのはあっちだから。私じゃないから。普通に座ってたら隣に来て私の右側に寄りかかってジャンプ読みだしたのアイツだから。何故こんな暑い日にくっつかなきゃいけないんだ。


「暑いんで止めて下さい」

「えー」

「えー、じゃねーよ」

「いいから早く座れよー」

「じゃぁ、ってちょ、わっ」


もう一つのソファーに移動しようとしたら手を引っ張られた。勢いよく引っ張られたもんだから座るどころか寝転がってしまった。ニヤッとした銀時の顔が覗き込んでいる。正直イラッとした。


「ちょっと!」

「おいせ」

「ちょ、ちょっと!」


文句を言ってやろうと思ったのだが、銀時が不可解な行動に出た。体勢を変えて、と言うか私に跨ってきたんですけど。そして両手首をがっちりホールド。おいおいおい!何をやってるんですかこの人は!


「何すんの!」

「ナニするんだよ」

「しねーよ!」

「ナニって何?銀さんナニするってしか言ってないんだけど名前ちゃんは何を考えたのかなー」

「うるさいわ!」


終始ニヤニヤしている銀時に腹が立った。抵抗しようにもふざけているように見えて銀時の手にはかなり力が入っている。逃がすまいと本気で来てるんですけどこの人!とりあえず足。足を動かす。しかしバタバタ動かすも無駄な抵抗に終わりました。汗かいただけ。だって銀時さんがお腹の上に乗ってるんだもんねー!ハァハァと荒い息をしてる私。近付く銀時の顔。え、ちょ、待って!


「ひゃっ!」


近付いてきた顔は首元に埋められ、首をぺろりと一舐め。変な声出ちゃったじゃないか!ヤダ!汗かいてるのに!って違う違う。何昼間っからさかってんのこの人。ナニってナニじゃねーか!未だ首元にある顔はちゅっちゅっぺろりと下がってきている。


「ちょっと、銀時っ」

「銀さんはよー寂しかった訳よ」

「そのまましゃべんの、やめて」

「名前ちゃん構ってくんねーし。久しぶりに会ったら銀さん発情期迎えちゃったわ」


確かに会うのは久しぶりだけど。仕事忙しいし、暑くて出歩きたくないしで全然会ってなかったけど。昼間からさからなくてもいいじゃん。こんなに暑いのに。今じゃなくてもいいじゃない、と声をかけたら顔を上げた銀時と目が合った。ギラギラしている目と。


「お子ちゃまが居ないうちにな」

「でも暑いよ」

「どうせ熱くなるんだ。同じだろ。もう銀さんギンギンだから今さら止めるとか無理」

「うるさいよ!勝手に始めたくせに」

「はいはい、うるさいのはお前な。そろそろ黙ろうか」

「んっ」


ねっとりと絡みつく舌は熱い。もう暑くて熱くて頭がボーっとする。せめて布団に連れてってよね、なんて考えていたら通じたらしい。けど連れてってはくれなかった。


「たまにはここでするのも燃えるだろ?終わったらあっち行こうな」


だって。何回する気だよコイツ。と心の中で悪態を付きつつ、いつの間にか自由になった腕をギラギラした獣の背中に回す私でした。
それはそれはアツイ日になったのは言うまでもない。



あつい日

20121007

戻る
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -