今日は大好きな土方さんとデートです。
明日非番なんだがお前暇か?えぇ暇ですとも!偶然ですね、私も明日仕事お休みなんです!と電話で会話したのは昨日の夜の事。電話が来ただけでも嬉しいのにデートのお誘いなんて嬉し過ぎて天にも昇っちゃうぜコノヤロー!
その後、時間と場所を告げられ、じゃぁ明日、と土方さんとの電話は終了したのだけど、ひゃっほぉぉぉい!と私が浮かれたのは言うまでもない。
何を着ようか、何処へ行こうか、わくわくと考えていたけど浮かれていた割に考えてたら眠れなかった、と言う程乙女ではなく布団に入れば私はぐっすり眠りについたのでした。
そしてぐっすり寝過ぎて見事に寝坊。待ち合わせの時間はとうに過ぎている。携帯電話には土方さんからの不在着信が何件も入っていた。何で着信で起きなかったんだ私。と言うかマズい…!
「ひじ、かたさ、すびばぜ」
「……」
急いで着替えてさっと化粧を施し全速力で待ち合わせの場所へと来たのだけど、そこには既に土方さんの姿があった。怒ってらっしゃる…。顔がかなり険しい。当たり前ですよね。待ち合わせの時間とっくに過ぎてますもんね。すみません。
ぜーはーと肩で息をする私を無言で見つめる土方さんの足元には煙草の吸い殻が大量に落ちていた。あ、ちゃんと灰皿に捨てないとダメなんですよ土方さん。って違う違う。この人いつからここに居たの?吸い殻の量から見て待ち合わせの時間より大分前からここに居たんじゃ…。謝らねば!全力で謝らねば!
「わたっ、ねぼ、すみませっ」
遅れた理由と謝罪を述べようと思ってみても息が整っていない為言葉にならない。あぁ怖い。土方さんの瞳がいつにもまして鋭い気がする。どうしようどうしよう。せっかくの休日なのに私のせいで、私なんかを誘ったせいで土方さんの休日は最悪なものになってしまった。何で寝坊したんだ私の馬鹿!自分の不甲斐なさに涙が出る。でも泣いたってダメだ。泣けば良いってもんじゃない。
「寝坊、なんだな」
静かに発せられた言葉にビクリとした。怖ぇぇえ!静か過ぎて怖ぇぇえ!怖過ぎて涙引っ込んだ。静かに怒るタイプだったのかこの人。
きっと次に続く言葉は腹切れ、だ。土方さんの休日を台無しにした罪。と、思ったのだけど先程までの険しい顔はどこへやら。目の前の土方さんは至極安堵したような表情をしている。…あれ?
「…すみません」
「いや、良い」
「怒って、ないんですか?」
「怒ってるように見えたか?」
見えましたとも!とっても!メッチャ怖かったんですけど!ってのが本音だけども、さすがに言えないので、だって私遅れちゃったし…、土方さんの顔が何となく険しかったので…と、控え目に言ってみた。
「あぁ…それは、だな」
アレだ、と言葉を濁した土方さんはばつが悪そうに顔を背けた。何で土方さんが顔を背けるんですか。ばつが悪そうに。どちらかというとそうなるべきは私なんじゃないだろうか。どういう事?
「お前が、その、事故にでも遭ったんじゃないかと、心配でな」
「土方さん…」
胸キュンだ。これは胸キュンだ。ほんのり頬を染めている土方さんが凄く可愛い。そして凄く嬉しい。私の事を心配してくれていたなんて。結局は寝坊した訳だけれども。もう!土方さん!貴方って人は!
「えへへ。遅れてすみません土方さん」
「それが謝る奴の態度かよ」
「だって嬉しくて。心配かけてごめんなさい」
「…まぁとりあえず、走ってきて疲れたろ。どっかの店に入ってゆっくりするか」
「はい!あっ、吸い殻はちゃんと拾っていきましょうね土方さん!」
分かり辛い
20090916
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