まだ一時間目の授業だというのに私は睡魔と闘っている。昨日ついうっかり夜更かしをしてしまったのが原因だと思う。
昼食後の授業も睡魔との闘いである訳だが、未だかつて睡魔に負けた事がない私は、不敗記録を破らせてたまるか睡魔コノヤロー!と頑張っている。頑張ってはいるものの、寝不足、という最大の味方を付けている睡魔はかなりの強敵。今にも夢の世界へ引きずり込まれそうだ。
しかし負ける訳にはいかない。否、負けられないのだ。


「俺の隣で居眠りたぁ良い度胸だな」

「…まだ寝てないもん」

「まだって事はこれから寝るつもりだって事だろ」


負けられない理由はコイツだ。ニヤリと笑っているこの男。隣の席の風紀副委員長、土方十四郎。何だその勝ち誇った顔は。くそぅ!この揚げ足取りがっ!授業中じゃなかったら殴ってやりたいところだ。
土方は隣の席になってからというもの、授業中になるととにかくうるさい。ちゃんとノート取れ、とか、黒板見ろ、とか。授業中をどう過ごそうが私の勝手じゃね?みたいな。こんな状態で居眠りなんてしたらどうなる事か。考えたくもない。だから負けられない。って言うか、私なんて見てないでお前こそちゃんと黒板見ろよ。


「私じゃなくてさ、現在進行系で居眠りしてる沖田を注意すれば良いじゃん。堂々とアイマスクまでしてんだよ。アイツ風紀委員のくせに授業中に居眠りだよ」

「馬鹿かお前。注意するにしたって席遠過ぎだろ。あれは先公に任せるしかねぇよ」


ぎぃぃぃぃい!!風紀委員贔屓なのか?それとも沖田の仕返しが怖いのかコノヤロー!それで良いのかよ!
私には毎日毎日些細な事で注意してくるくせにっ!もしかして沖田に授業中注意出来ない鬱憤を私で晴らしてるとかないよね?ありえないよね?そんなオチ。


「でもまぁ」

「…何?」


言いながら土方を目で殺す勢いで睨み付けてやった。しかし土方は微動だにしない。チッ。精神的な攻撃が効かないなら、物理的攻撃だ。後でお前のマヨネーズ隠してやるからな。覚悟しとけよ。なんて、私の計画を知らない土方は目の前で一層ニヤリと笑って見せた。


「お前の寝顔が見れるなら、居眠りを見過ごしてやっても良いかもな」

「はぁ!?」







「ちょ、土方キモイィィィィィィイ!!」

「うるせーぞ」

「はーい、そこ二人。うるさいから廊下に立ってなさい」


そんな事言われたらますます居眠りなんて出来ないじゃないか。

20090830

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