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『何か怒ってる? ……だよな。俺いっつも煮え切らないもんな』
なんか勝手に納得し始めたわ。
どうしよう。切るのはどうやるのかな。
画面触ればいいのかなぁ。
手を伸ばした瞬間に、カタセくんが喋るから怖くて触れないよう。
『なあ、聞いてもいいか。美音は……俺とのことをどう思ってるんだ』
好きみたいだよ? カタセくんのことは。
あたしには何処がいいのかわからないけどね。
『かれこれ付き合って一年くらいなるじゃん。俺……俺はさ、美音以外考えられないし』
え? もうそんなになる?
あたしももう子猫じゃないなぁ。
カタセくんに同情してる場合じゃなくない?
とは言え、今は別にその気ないけどね。
『だからさ。聞いてんの美音』
返事がないんだから聞いてるわけないじゃないのよ。
どうしよ。カタセくん、誤解し続けているわよ?
『だから、……つまり、俺はけっ……けっこ……んも考えているわけ! 次会った時、返事を聞かせてくれ』
けっこ?
けっこってなんだろう。
『プツッ、ツーツーツー』
「みゃーおん」
あ、切れた。
あれれ?
結局カタセくん、電話の相手があたしだってこと気づいてなかったかも?
「あーサッパリしたー」
そこに、ごきげんな様子で戻ってくるミネちゃん。
「にゃーおん」
ミネちゃん、非常事態発生だよ。
「どうしたの。あ、勝手にスマホ触っちゃダメよー」
「みゃー」
ごめんね。
カタセくん、けっこの返事が知りたいんだって。
あたしもよくわからないんだけど、ミネちゃん、なんとかしてくれるかしら。