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結局、カタセくんは翌日、ミネちゃんと一緒にプレゼントを買いにでかけ、指輪のことは教えなかったみたい。
「欲しかったモヘアのセーター買ってもらっちゃった−」なんて呑気に言ってるのを聞いて、あたしはなんだか複雑な気持ちになっちゃった。
そんな訳で、二人の間は今までと変わりない。
むしろ、落ち込み気味のカタセくんが来なくて静かになったくらい。
カタセくんは、どうしてミネちゃんがそんなに好きなのかな。
みたところ、ミネちゃんってカタセくんにそんなに優しくもないと思うんだけど。
*
気になることは調べるべし。
あたしは知ってる。ニンゲンは写真ってやつを撮るのよ。
あたしもよくミネちゃんに「こっち向いて〜」って言われて撮られているもん。
モシモシもできるのに写真も撮れるんだよ。スマホっていうやつ。
ニンゲンってホント不思議な機械をもっているよね。
ミネちゃんがお風呂に入っている隙を見計らって、あたしはテーブルの上に飛び乗った。
ピンクのそれの画面は今黒い。
えっと、どうするんだっけ。
肉球で撫でたら、画面が光った。
うわあ、なにこれ。でもなんかこの画面から動かない。触ると点がいっぱい出てきて、触ると線が引けるみたい。
なんかおもしろーい。
何度か触っていたら、不意に画面が変わった。
数字とか絵とかが沢山並んでる。
あれぇ。ミネちゃん簡単そうにしていたのに、難しいんだなぁこの機械。
そうこうしているうちにあたしは何かを押してしまったらしい。
人の形の絵が出てきたと思ったら、声がする。
『もしもし、美音?』
あれ、この声カタセくんだ。
あたし、シャシンじゃなくて電話のほうを触っちゃったみたい。
『なんだよ。なんで黙ってるんだ?』
ごめんね、カタセくん。ミネちゃんじゃないんだよ。あたしなの。
でも電話ってことは姿は見えないんだよねぇ。