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クリスマスのカタセくんのプレゼント計画は、ヒトコトで言うと失敗に終わった。

失敗の原因の一つは隠した場所が奥の方だったってことかな。
オーナメントに紛れてしまった赤い石のついた指輪に、ミネちゃんは結局、片付けるぞって時まで気付かなかったの。

カタセくんももうちょっとミネちゃんのこと分かってあげないと。
可愛くて優しくて、あたしはミネちゃん大好きだけどさあ。
でも、あたしを捕まえるときのあの力強さといい、カリカリご飯がこぼれても平気なとことか、
結構大雑把で鈍感なんだから。

でもね。片付けた時にカタセくんがこれみよがしに持っていたから、ミネちゃんも一応気づいたのよ。

「あれー、指輪? 紛れてたの?」

「あ、うん」

「やった! ラッキーだったね。貸して貸してー!」

ミネちゃん。
クリスマスツリーに指輪が紛れるわけないでしょ?
気づいてあげなよ。

あたしはカタセくんキライだけど、この時ばかりはちょっと同情したわ。
しかもそれに続く言葉がひどかったんだもの。

「あれー、私にはゆるいやー」

カタセくんも詰めが甘いよね。
サイズくらい測っておきなよ。
サイズが合わないんじゃプレゼントにならないじゃん。

とにかく、それでカタセくんは言うに言えなくなっちゃって。

「俺、店に返しておくよ」
と情けなく笑って指輪をしまった。


その夜、ベランダでたそがれているカタセくんがさすがに可哀相に思えて、あたしはミネちゃんに抗議しにいったの。

「みゃーお」
ミネちゃん。あれ、ミネちゃんへの指輪なんだよ?

でもね、ミネちゃんには全く伝わらなかった。

「なあに? あ、モカちゃんにもクリスマスプレゼントあるのよ? ほら、新しいリボン。同じ赤でも金色の縁取りがついてるんだよー」

「にゃーおん」

うん。それは素直にありがとう。
プレゼントって嬉しいね。
でもね。

「カタセくんにもプレゼントあるのになぁ。……ベランダから戻ってこないね」

寂しそうに言うミネちゃん。
うん。困ったな。
こう言ったらなんだけど、それの原因ってミネちゃんだから。

まあでも、カタセくんに度胸がないのもいけないのよ。
サイズが合わなくたって、プレゼントだよって言えばいいじゃない。




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