7
おじさんの肩から見える空が、少しずつ白くなってくる。
雨の音は
ポツンポツン。
さっきよりもずっとゆっくりになった。
ああこれなら帰れる。
「おとうさん!」
大きな声がして、あたしは驚いて体を起こす。
「サユ! 静かに」
おじさんが振り向くと、あたしの目にも二人のニンゲンが見えた。
女の人と女の子。
白っぽい傘とピンクの傘。
ミネちゃんが好きそうな色。
この人たち、おじさんを迎えに来たのね?
「にゃーおん」
あたし、行くね。
おじさん、雨を弱くしてくれてありがと。
「あ」
おじさんに一声挨拶して、あたしは駆け出した。
「ああー、ネコちゃん! まってぇ」
女の子の声がする。
でも、ごめんね?
あたしちょっと急いでいるのよ。