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「ああそうかよ。なんだよ、せっかく綺麗なツリーを見せたかったのに」
いつもはただただ平謝りするカタセくんも、今日はなぜか強気のまま。
乱暴に飾りやクルクルを袋に詰め込んでしまう。
ああー。クルクルが行っちゃう。
残念だけどまたね。
あたし、今はミネちゃんを慰めなきゃ。
「じゃあな」
部屋のドアがバタンと閉まった。
その音に合わせて、ミネちゃんがビクンと体を震わせたから。
あたしは手のひらをぺろりと舐めてあげた。
そうしたら、雨が降ってきたの。
ポツン、ポツンとあたしの頭に落ちる雨粒。
ミネちゃんっていう雲から次々と落ちてくる。
「ふっ、えっ」
「みゃーおん」
泣かないでよ、ミネちゃん。
カタセくんがいなくったってあたしがいるじゃない。
「モカちゃん、なんで私って性格ブスなんだろう。えーん」
唇を噛み締めながら、ミネちゃんはオイオイと泣きだした。
「みゃー」
ああもう。仕方ないなぁ。
ミネちゃんはカタセくんが好きなんだもんね。
あたし、カタセくんなんて嫌いなんだからね?
だけどミネちゃんが好きだから、特別よ?